『スロー風土の食卓から』 12回 ~菓子~
甘さ強烈 食後の‘友’ イタリア菓子といえばティラミスやパンナ・コッタが日本では空前のブームになった。フランス菓子に比べれば地味な感じがするが、実は十六世紀までイタリア貴族が職人に作らせた菓子はフランスを席巻するほど高いレベルだった。果物の砂糖漬け、タルト(焼き菓子)やジェラート…。今でも街の菓子屋で主役をはる面々が、五百年間も変わってないのにむしろ驚いてしまう。 一方、素朴な地方菓子には地産地消の精神が根づく。クロスタータというタルトには、旬の果実をジャムにして、生地に載せて焼く。保存のためジャムには大量の砂糖。脳がしびれるほど甘く、牛乳に浸しながら、朝食やおやつに食べる。 生地にはバターの代わりにラードを使うのでサクッと仕上がり、胃にもたれない。ブタを処分した際の豊富なラードはここでも利用される。 シチリアでは、菓子にリコッタチーズをふんだんに使う。その一つがアラブ伝承のカンノーロだ。揚げたパイ生地の中には甘くコクのあるチーズがたっぷり。食べだすと泊まらない。鮮度が命の生菓子だから現地に行かないと食べられない。 イタリア人は老若男女、甘いものが大好き。どうもこの好みは家庭で養われるようだ。 日曜日の昼前、街の菓子店がひときわにぎわう。安息日を尊ぶカトリック国でも、菓子店だけは開いている。菓子は大家族の昼食には欠かせない。一家の主である父親が買いに来る。 30センチほどの紙のトレーに一口大のケーキやシュークリームが満載!種類の多さに「どれから食べよう」と大人でも迷ってしまう。菓子の後は、家族で散歩。バールで苦いコーヒーを飲み干せば、長い昼食が完了する。 「甘いものを食べないと、食事を終えた気がしない」とある男性。この国では食後のデザートを所望するのは女性だけではない。 粉川 妙
by butako170
| 2008-01-23 06:45
| 神戸新聞 掲載記事
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