イル クチニエレの同僚ロザリオに「もう馬肉料理は食べた?」と問われて、「カターニアの人は馬肉食べるの?」と思わず聞き返してしまったbutako。そうここカターニアは馬肉料理が有名なのです。どこのリストランテやオステリアでも新鮮な魚介を売り物にしているので、1年前に来たときは気づかなかったのですが、その実地元っ子の人気は馬肉料理なのです。
さてどこのレストランで美味しい馬肉が食べられるのかロザリオに聞いたのにすっかり忘れてしまいましたぞ。おっとあそこの角に肉屋さんが・・・。餅は餅屋と言いますから肉屋のおじさんに聞いてみることにしましょう。すると馬肉料理を始め何を食べても間違えない・・・と折り紙つきのトラットリアを教えてくれました。その名も「カバリエーレ」。なるほど『騎手(カバリエーレ)』と名が付いているあたりが、大穴っぽい感じがします。 トラットリアの入り口には、魚介をはじめその日の材料がディスプレイされていました。その一角には赤い肉の塊が・・・。「これ、何?馬ですか?」と尋ねると「そうだよ。うちの馬は格別だよ。」とコックらしきお兄さんがニッコリ笑って答えます。店内はガラス張りのテラス席もありとても洒落ています。1922年創業と看板にありました。古くからやっているトラットリアなんだな・・・。 そして禁煙席と喫煙席が分かれているのも喫煙家にはウレシイ配慮かもしれません。なんせイタリアも先進国の例に漏れず飲食店内は全席禁煙になっているものですから。 テラス席に通されてメニューを拝見。 butakoがまず頼んだのは海の幸のリングイネと馬肉の盛り合わせです。ワインは軽めのテッレ デッラ バロニアというIGTの赤をお願いしました。 リングイネはムール貝とアサリのエキスをたっぷり吸っていてとても美味。新鮮な魚貝に地元で取れた良質のトマトを使っているので、旨くないわけがありません。リングイネをスープに絡めてサラっと食べられる一品です。そして名脇役はこのワイン。赤なのに海の幸とあわせても全然違和感がありません。むしろさっぱりしたパスタのアクセントになって食がすすみます。 そしてセコンドは待ちに待った馬肉料理です。馬肉のフィレステーキとポルペッティーネ(肉だんご)をちょっとずつ盛りあわせてもらいました。馬肉のフィレステーキの柔らかいこと!ミディアムレアに焼かれた肉は、切ると断面が桜色です。そして肉汁がジワーとしみでてきます。肉質はやわらかめですが、適度な弾力があります。肉にはもちろん脂も適度にのっているので、かむたびに良質な牛脂にも似た甘くトロッとした脂肪の味を楽しむができます。「美味いっ。美味すぎる。」 以前プーリアで食べた馬肉が硬かったので「馬肉は硬い」と思っていたのですがその思い込みを見事に覆しました。後でご主人に尋ねてみると、生後18-30ヶ月の子馬を使うので肉は適度に柔らかく脂肪も甘いのだとか。一方馬肉の肉団子はスパイシーでワインの友に最適。アラブの香辛料文化の影響を感じました。 そうこうしているうちに向かいに座っている白髪のシニョーレがbutakoに声をかけてくるではありませんか。「一緒にドルチェでも食べませんか?」誘われるままに相席します。品の良さそうなでもさすがイタリア人と思わせる陽気な3人組は、ローマ銀行のお偉いさん方でした。 そこでフェドラ(fedora)というリコッタチーズにふんだんにアーモンドを散らしたトルタを注文。 アーモンドはカリッと香ばしく、リコッタはほのかに甘くクリーミーです。一口食べるたびに幸せになるドルチェでした。そして勧められるままにグラッパをいただきます。ネロ・ダーボラのグラッパは薄い琥珀色でとても香り高く、飲み干した後も余韻を残す味でした。 さて馬肉料理を大いに堪能した2日後、イル クチニエレにて仕事を終えたbutakoたちにカルメロがある場所に行こうと誘ってきました。なんと夜通し開いている地元でもローカル度120%のパニーノの屋台です。パニーノ屋のガラスケースに陳列されていたのは馬肉をはじめサルシッチャやモツの数々・・・。 これを炭火で焼いてパンにはさみ立ち食いするというスタイルです。 なんともカオスの街カターニアらしい風景ではありませんか。深夜25時のパニーノを楽しんだ後、以前よりもカターニアの街が少し分かったような気がしました。路上でひとつ2ユーロの馬肉のパニーノを頬張り、安い赤ワインをすすりながらそこに居合わせた人たちと何気ない会話をする・・・一日の生業を終えた人々を癒す都会のオアシスをそこにみました。 butako Trattoria del Cavaliere 住所:via paterno 11 Catania
by butako170
| 2007-01-05 01:29
| リストランテ
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