ヴォルテッラのペコリーノチーズのDOP公聴会に参加!!
去る7月3日(木)、トスカーナ州のヴォルテッラという街で、興味深い食の会議に参加したので、報告します。
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植物の凝固剤で作ったペコリーノチーズが、DOPに認定されるための大事な会議にかけられるのです。その名もPecorino delle balze volterrane !!

植物の凝固剤…ペコリーノチーズの場合、たいていは乳飲み羊の胃を切り取って乾燥させ、それを暖めたお乳に入れることで、凝固させていました。
胃の内容物には、強力な酵素が入っているからです。

一方、ヴォルテッラでは、野生のカルドン(アザミの一種)を使って固めるのだとか!!
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以前から「そういったモノがあるらしい」と聞いていたので、食べたことも見たこともないbutakoにとっては、興味津々だったのです。

前置きが長くなり、すみません。
(butakoの期待値を分かって頂ければと)

そのチーズが、DOP*というEUの認証を受けるために会議にかけられる、というので早速、行ってきました。
(このご縁がまた不思議で、あさってNHKで放送されるラルドを調べている途中に出会った教授のお誘いだったのです!)

スポレートから車を走らせること3時間。
シエナ県から程近いピサ県にあるヴォルテッラは、公共交通機関のアクセスが悪いことから、なかなか訪れにくい街みたいです。
エトルリアの街で紀元前3世紀の門が残っているのだとか。
アラバスター(方解石)の産地でもあります!!

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中世の雰囲気が残る落ち着いた町並み。
洗礼堂の黒と白のストライプは、シエナのドゥオーモに通じるものが。
プリオーリ宮殿近辺の広場は、さすがに自治都市時代の雰囲気に溢れていました。
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その宮殿の中の『市議会の間』で、11:30から会議は行なわれました。
公会議ということで、一般人の参加も可能です。

これはEU認定品(DOP、IGP等)を官報で告知する前に行なう、必要不可欠な行程で、一般人も含めた会議にかけて、認定品のノルマが書かれた文書をチェックし、改善点やエラーの修正を行なうのです。
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この会議が実に面白かったです。
まず議長は、農林水産省からやってきた官僚の方(認定品の部署)で、女性2人だったので、会議の雰囲気自体とても自然で、発言がしやすい感じでした。議長席の隣には、ヴォルテッラ市長さんが。

正面右側の席には、商工会議所の別機関であるシンクタンク会社の方、ペコリーノチーズ協会の会長、トスカーナ州議員、ピサの商工会議所の方など、そうそうたるメンバーがおり、
向かい合わせには、生産者たち20人弱座っていました。

傍聴席は、木の低い手すりで仕切られた部屋の後半部分。
そこにbutakoは座って、議会の様子を眺めていました。

議題の主な内容は2つでした。
1)羊の食べる餌…大豆やとうもろこし、大麦等…を規定したほうがいいということ。

しかし、その文言を文中に入れることは、決議しましたが、餌をBIO(有機)にするかどうかで、意見が分かれました。有機の場合は、OGMフリー:遺伝子組み換えでないもの で有機のものを、きちんと選んで買わないといけないので、マーケットで無表示のをうっかり買ってしまうと、規定違反になってしまいます。
また有機の餌さであることを証明するために、検査員と検査料が必要で、出費を強います。

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議会内では、BIO推進意見が大半でしたが、生産者の総意をとる必要があるということで、数日以内に意見をまとめ、省庁に報告するということで、決定されました。

2)ロゴの大きさ  ロゴは野生のカルドンの花をVの字に見立てたものです。
ある程度大きめのロゴのほうが、見やすいのでは、というシンクタンクの意見に対して、トスカーナ州職員のほうから、2014年にEU内でロゴに関する法律が出るようなので、独自の大きさを決めてしまうと、不都合が起こるかも…という意見により、大きさは規定しないことにしました。

ロゴですが、使用される塗料のカラー番号も決められていて、その細かさにびっくりしてしまいましたが、確かに同一のロゴにするためには、必要だと納得しました。

およそ1時間半にわたる会議でしたが、全体の感想としては、契約社会、法社会であるヨーロッパの古い歴史を垣間見た思いがしました。
13世紀半ばの自治都市自体の会議室をそのまま使い、議長と議員、そして同業組合員(昔でいうギルド)、そして市民が公聴し、一つのことを決める…それは自治都市時代から脈々と行なわれていたイタリアのやり方でした。

なんだかそれを目の当たりにして、感動を覚えてしまいました~。
すごいぞ、イタリア。そしてヨーロッパ。
それが現代社会に生かされているんだから、たいしたもんですよネ。

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さて、次回は、組合長のアグリで振舞われた『ペコリーノづくしの食い倒れランチ』です。子豚の丸焼きもあって、大興奮でした!
一回で報告するつもりがまた2回になっちまいました。

                              butako

*DOP:Denominazione di Origine Protetta(原産地名称保護制度)とは、EUが認定する「地域」「製法」「原材料」などを限定して作られた生産物。
主な目的は『模倣品防止』ですが、近年はプロモーションにも使われています。

有名どころではパルミジャーノ・レジャーノ。模倣品がいかにも本物のように装って市場に出回るのを防いでいます。商品にはDOP認証のマークが貼られており、そうでないモノと区別しています。


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by butako170 | 2013-07-05 17:22 | プレシディオ・食材
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