9月16日(金) 石を使って食器や花瓶を作っているユニークなギャラリー&ショップがある・・・と母が聞きつけて、二人で行ってきました。 向かったさきは、石切の街として播州で名の知れた高砂市の宝殿(ほうでん)です。 国道2号線(バイパス)を加古川西で降り、左折後程なくして目指すショップ:現代宝殿石器 石ころRI はありました。 昔の家屋を改造したたたずまいのお店で、引き戸を引くと土間になっていました。 戸惑うbutakoたちを、『いらっしゃい!』と気さくに出迎えてくれたご婦人がいました。『店に入る前に、土間にある石のモニュメントに触れてみてください。』「???」訳も分からず、言われたとおりに1mほどのやわらかい曲線を描く像に触れてみてビックリ!!!なんとその石のさわり心地がすごく気持ちよいのです。表面はなめらかで、かつ肌に馴染むように柔らかい感触です。そのご婦人Mさんは、驚くbutakoたちに店内に入るようすすめました。 店内は、宝殿の石でつくった作品が、たくさん飾られていました。お皿やマグカップ、花瓶、そしてbutakoのお気に入りは、石のランプシェードです。電球の明かりを石に反射させてできた間接照明は、見ているだけで落ち着きます。石の凸凹が光に微妙な陰影をつけていて、とても素敵でした。また、秒針が短くシンメトリになった、文字盤のない掛け時計も、ユニークでした。 そして、デザインばかりではなく、機能や石の特徴も生かされていました。 例えば・・・ 石のお盆や取り皿などは、使い手の事を考え、器の厚みに変化をつけて使いやすくしています。 タンブラー(ビールジョッキ)は水滴がつきにくく、 ビールの泡も細かく長持ち!(butami実際購入、本当でした。) 花器は、石が水の温度を一定に保とうとするので 花が長持ちするetc・・・というなかなかの優れものばかりです。 1点1点、Mさんと数人の職人さんが、使う人のことを考えつつ手作りしています。さわり心地が良いのも、彼らの丁寧な研磨のおかげなのです。 そうこうしているうちに、もう1人ご婦人がやってきました。 Iさんといって、彼女は内助の功。石ころRIの広報、経理などの事務、そして営業を担当しています。 展示会などもIさんが取ってくるそうです。 このお二人、実はお互いのお子さんが幼稚園の時に知り合った、25年前からの友達です。 Mさんは石屋に嫁いできて、石のある環境で過ごしていました。旦那さんが石の採掘や加工などをされたので、いつか自分はその石を使って器を作りたい・・・と思っていたそうです。 そんな折にIさんと出会い、すっかり意気投合し、二人でお店を開いてしまった・・・というのです。 しかし道のりは平たんではありませんでした。もともと、宝殿石(竜山石:tatuyamaishi)は石材用の石です。建物の土台や塀や庭石に使われてきたのです。 『足で踏むための石で作ったコップでお茶が飲めるか!』地元の人々は当初、固定観念から、なかなか宝殿石の器を受け入れることができなかったそうです。 しかし、この勇気ある先駆者たちは、そんな反対意見にもめげず、展示会などを中心とした活動をコツコツと行ってきました。やがてファンも増え、兵庫県の技能士としての評価も受け、ようやくここ地元でショップを開くことにしたそうです。 『芸術家が評価されない国はやがて廃れる・・・といわれますが私たちの国がそうであってはいけない。』とMさん。確かに日本人は、無名の画家や新しい芸術に対して、評価をしたり投資したりするのが苦手な国民です。それに憂えた芸術家たちは、海外へ行ってしまう。いわゆる無形文化の流出です。そして海外で評価を得ると、ようやく日本でも認められる・・・という歪んだ現象があります。Mさんは、それについて危機感を募らせています。 また、『職人が評価されなければ、作り手がいなくなる。モノを作らなくなった国民は、感性を失い、思考を失う。だから、私たちは手仕事が評価されるように、活動し続けなくては。』そうも言っておられました。 そのそばで、Iさんが宝殿石の茶器でお茶を振舞って下さいました。彼女のホスピタリティと絶え間ない笑顔が、とても印象的でした。 また、butakoがイタリアに留学するということを言うと、大いにその話題で盛り上がり、二人のイタリアグルメ旅行についての、楽しい話も聞くことができました。このオバさま達、行動力の塊だわ!すごくエネルギッシュ!! また、地元の美味しいイタ飯屋情報も、バッチリ入手してきましたヨ。(姫路やけど。) 女50代、円熟した魂とフレッシュな感性、そして熱い心。前向きで、好奇心旺盛で、人生を楽しんでいるお二人を拝見して、butakoもパワーをもらいました。 また、お会いしましょう!Mさん、Iさん。 butako
by butako170
| 2005-09-17 22:10
| 一時帰国
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