ロヴェイアの現場へ 『大人の遠足』その①
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先週金曜日、4人のお客さまとともに『スローフード現場視察』をじっくりと1日かけて行いました。

スローフード協会が定めたプレシディオ品に興味があった依頼主のYさんとそのお友だち。
話し合った結果、チヴィタ・ディ・カッシャのロヴェイアRovrja(野生のグリンピース)と、アメリア地区のFava cottòra ファーヴァ・コットラ(ソラマメの一種)の現場を見に行くことにしました。

ロヴェイア生産者は、お馴染みbutakoの親友のシルヴァーナです。

d0033983_2411817.jpgロヴェイアは、ここヴァルネリーナの谷では、重要なタンパク源として古くから作られてきた豆です。1545年Montesanto(Sellano界隈の村)の公文書(Statuto di Montesanto)には、チェーチ(ヒヨコマメ)やファッロ(スペルト小麦)、オルツォ(丸麦)に混じってロヴェイアの名もあり、穀物の作付けに関する取り決めが記されています。

また、ローマ時代にPisello(グリンピース)といえば、この品種を指しており、その歴史はとても古いのです。

しかし近年、収穫に手間がかかるため、すっかり作られなくなってしまったのです。
ロヴェイアの作り方&収穫の様子はこちらから。

そのロヴェイア作りを谷で復活させたシルヴァーナ。
きっかけは納屋で見つけた瓶詰めの豆でした。
種まき用に蒔くつもりだったものが10年以上忘れ去られて、残っていました。

d0033983_2415496.jpgシルヴァーナは母親に、「これ、何の種?」と聞いたところ、
「ああー!それね。それは腰が痛くなる豆だよ。そんなもの、蒔かなくてもよろしい」と言われたそうです。

中腰になって、乾燥したサヤから豆を出さないといけないので、皮肉って言ったのよ、とシルヴァーナ。「でもね、種を産み育てる女の性分から、発芽させずに放置していた種を、そのままにしておくわけにはいかなかったのよ。」

とニッコリ。
その言い方がまた、大きな母性を持った彼女らしい。

それからロヴェイアの文献を探し、ペルージャ大学の農学部に問い合わせたりしながら、数年間、調べに調べたのでした。

そしてついに、種は蒔かれ、ロヴェイア作りがはじまりました。

スローフード協会の『プレシディオ』を申請するにあたって、シルヴァーナがこだわっていたことがありました。
それは、商品にチヴィタの名を入れること。
スローフード協会としては、会員数を増やすためにも、『ヴァルネリーナ』と谷全体の名前をつけたかったそうです。
しかしチヴィタの20戸の住人たちのため、村おこしのために、なんとしてでもロヴェイア・ディ・チヴィタ・ディ・カッシャという名称にこだわったのです。

d0033983_2422073.jpgプレシディオ品とは、滅び行く食べ物を守り、販売促進を図る…というのを目的にしています。そういう意味では、ロヴェイアは一度滅んでしまった食べ物なので、復活させるまでの努力は並大抵のものではありません。

シルヴァーナに、プレシディオ認定のメリットを聞いてみました。
①協会を通してのプロモーションは効果絶大で売り上げが伸びる
②2年に1度トリノ市で行われる食の祭典『サローネ・デル・グスト』に出展し販売する
③テッラ・マードレ(生産者、学術研究者、学生、コックのシンポジウム)の参加

(写真は、サフランの手作りクッキー。サフランの香りと優しい小麦粉がサクサク)

特に②③は、すごいメリットだと言います。
②③は二人まで無料で参加でき、ブース代も無料で、宿泊代も協会が持ってくれます。
③のシンポジウムでは、同じ生産者同士、意見を交換し合ったり、励ましあったりでき、普段、スポットライトの当たらない農民たちが、まさに主役になれる場である、と言います。

「農民の誇りを取り戻し、皆で結束できる」と、自分たちが主役になれたことの素晴らしさを、目を輝かせながら話し聞かせてくれました。

農民や漁師というのは、最終消費者の反応を見ることができないので、得てして自分たちの仕事を過小評価しがちではないでしょうか?

作り手が、もっと賞賛されることで、モチベーションが上がり、後継者が増え、食も安全になっていくと思いました。

さてさて、次はお待ちかねのランチタイムの様子です!

butako
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by butako170 | 2011-08-15 18:25 | プレシディオ・食材
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