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イタリア中北部 サルーミ紀行③
3日目>>マルケ&ウンブリア>Visso、Corone 其の1
本日は、マルケ州を代表するソフトサラミ=チャウスコロの製造現場と、ヴァルネリーナの谷で一番売れている肉屋さんで生ハムの骨を抜く作業(disossare)を見に行きました。

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ノルチャから30kmほど北上した町ヴィッソ(マルケ州)。ここは良質のサルーミ製品が産み出されている町です。
なんでも、ノルチャとヴィッソの間にあるPreci(プレーチ)という町では、製鉄か古くから盛んで、そのため高品質の刃の産地でした。そのおかげで中世から外科手術のメッカとして大学が作られ、ヨーロッパ中に名をとどろかせました。
そんな最先端のメスや刃を用いて、その周辺のノルチャやヴィッソで豚の加工が盛んになったと言われています。

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こちらがチャウスコロです。マルケ州の一部の地域で作られています。
チャウスコロは、豚の脂肪をふんだんに混ぜ込んで作るソフトサラミ。
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こちらは、ヴィッソの街中に店を持つジョルジョさん。作業所を訪れました。
「うちは、腸詰用の腸も人工のものは一切使わない。すべて本物だけを使っているんだ」
「この腸詰用の機械は、うちのひいおじいさんの時は、木製で手で回していたのさ」なんて、いろいろと教えてくれるジョルジョさん。

作業所には、奥さんとお父さんも働いていました。代々、Macellaio(肉屋)を営む家系で、息子さんも継いでくれています。息子さんは、販売所を担当。

さて、肩や腿の切れ端などの肉に、ラルド(脂肪)をたっぷり混ぜて、塩、胡椒、ニンニクとワインが入ります。それを細かいフィルターで2度挽いて生地を作ります。

挽いたばかりの生地を頂きましたが、これがおいしい!肉のお刺身・・・といったところでしょうか。
豚の脂肪が甘いんです。新鮮で良質の豚である証ですね。

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挽いた生地を腸に詰めて、暖炉の煙で1週間ほど燻します。
これが防腐剤の役割を果たすんです。
その後、1~2ヶ月ほど熟成させて、出来上がり。

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販売所で試食させてもらったチャウスコロは全部で4種類。ノーマルなのと、黒トリュフ入り、フェンネルの花のパウダー入り、唐辛子パウダー入りです。

フェンネルの花のパウダーを使うのは、ヴィッソやノルチャ特有のもので、9月くらいになると、野生のフェンネルの花を乾燥させて作ります。
そう、手作りスパイスなんですよ。1kg90ユーロは下らないんだとか。


その後向かったのは、ヴィッソ郊外にあるサルメリアです。
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ここの若社長フランチェスコさんに、ハムのレクチャーを受けます。
あ、その前に、ここのチャウスコロも頂かないと。

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さきほどのジョルジョさんのところで食べたチャウスコロよりも若い熟成(1ヶ月)だったので、パンに塗れるくらいの柔らかさ!
熟成の期間で硬さが変わるので、お好みのものを買いましょうねぇ。

店内の天井近くにずらりと並ぶ生ハムに目を奪われていると、おもむろに「パルマハムとノルチャのハムの違いを知っているかい?」とフランチェスコさんが問いかけました。

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 ここを見てご覧。

ノルチャのハムは、豚の皮で覆われている部分がここまである。でもパルマハムは、だいたいこの辺り(ピンクのラインあたり)。

ハムを作る時は、まず生のモモに塩をする。皮の部分は塩を吸収せず、むき出しになっている肉の部分から塩がモモ全体に取り込まれるんだ。だから、皮で覆われている部分が多いパルマハムは、塩の吸収が少なく甘塩になる。一方ノルチャのハムは、強めの塩味になるんだ。


なるほど、皮の部分の割合で、パルマハムかノルチャのハムかが分かるというのです。


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そしてノルチャのハムは、塩気が若干強いのが特徴ですが、それは、やはりここウンブリアやマルケで食べられている塩なしパンと一緒に食べるから。
塩なしパンと相性抜群なのは、やはり地元のプロシュット(生ハム)なんですね。

妙に納得する私たち。

また生ハムを丸のまま保存するうえでのヒントですが、熟成12ヶ月を過ぎたら、酢をしみこませた布で皮の部分を拭くとよいとのことです。皮のない所のスンニャ(ラードに塩コショウを混ぜたもの)も、たまには塗ったがよいと。ダニが発生しやすくなるので、ダニ防止だそうです。

いろいろと学術的に教えてくれたフランチェスコ。

大変勉強になりました~。ありがとう!!
レポートが長くなってしまったので、続きは次回へ。                 butako
by butako170 | 2011-02-24 00:00 | プレシディオ・食材
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