<   2015年 04月 ( 7 )   > この月の画像一覧
雪のラヴェルナ山
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山を登ると、そこは雪国だった…。
ほんの3週間ほど前。4月なのに雪だなんて!

4月5日(日)のイースターの日、お客様とカゼンティーノ地方に宿泊し、その日の午前中はアレッツォのアンティーク市を楽しみました。

昼食はどのレストランに入っても、イースターのプランツォーネ(大昼食会)で、きっと時間を取られるに違いない、と思い、ランチも取らずにアレッツォからラヴェルナ山へ向かいました。

土曜日の雨も奇跡的に上がり、やっぱりイースターだから神様の恩情かしらネ、などと言いながら、カゼンティーノの山奥へ車を走らせて行くと…。

季節は逆戻り。
横殴りの雪です。

そもそもなぜラヴェルナ山を選んだかというと、かの聖フランチェスコに奇跡が起こった大事な聖地だから、これは見ておこう、というbutakoの独断でした。
彼の眠るアッシジを訪れる人は多いですが、交通の便の悪いこの聖地まで、わざわざ訪れる人は少ないでしょう。
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(写真:ジョットが描いた『聖痕を受けるフランチェスコ』アッシジ大聖堂 wikipediaより)

その奇跡とはこういうものでした。

フランチェスコは、その死の2年前(1224年)、普段から瞑想の場として慣れ親しんだラ・ベルナ山を訪れました。そこでイエスの苦しみを味わおうと、イエスもかつて行った40日の断食を行っていたところ、6枚の羽を持つ天使セラフィム(日本語では熾天使:してんし)が現れ、フランチェスコの両手、両足に聖痕(せいこん)を授けたそう。
この聖痕とは、イエス・キリストが十字架に磔(はりつけ)にされた際、打たれた釘の痕のこと。

このフランチェスコの奇跡にちなんで、ここは聖なる場所として、巡礼者が絶えない場所となったのです。1500年代には3万人も収容できる施設が、山の周辺にできたといいます。
こんなに来るのが困難な場所なのに、彼の根強い人気がうかがい知れますね。

ちなみに、セラフィムが聖痕を授けているとき、金色のビームが出て、それがフランチェスコの肢体に焦点していますが、この表現を初めてしたのがジョットなんですって。
その後、このテーマの聖画が描かれる時は、このビームはお約束の表現になったそう。

それでは中に入ってみましょう。
雪が激しかったので、あまり写真はないです。
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結構大きな食堂や、休憩所を通り、
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ややすぼまった通路(一部岩壁になっている)を通り抜けると

教会や礼拝堂群がありました。

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ちょうどイースターの礼拝を行っている最中で、聖職者や信者が鈴なりになって、

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フランチェスコが聖痕を受けた小礼拝堂へと集っていました。(後から追いかける私たち)
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ここの礼拝堂やロッジャ(屋根のある廊下)には、ルカ・デッラ・ロッビアの作品がたくさんあります。
これを目当てにやってくるロッビア・マニアもいるくらい。

ちなみに聖痕を受けた場所には、キャンドルが灯されています。
こういう演出、イタリアって多いですよね。

ミサも終わり、先ほどの教会前の広場へ行きます。
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なんて寒々しいんでしょう。
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下界はどんな感じだろう。
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ほら、分かりますか?
雪雲が切れていて、その下は雪など降ってはいません。
寒いのはここだけなんですねー。

カゼンティーノ地方は春の訪れが遅いと言いますが、ここに来て納得しました。
ちなみにフランチェスコが40日の断食を行ったのは8月のこと。
それじゃあ、避暑地なみに涼しかったに違いない。
空腹と喉の渇きに、暑さじゃ、いくらフランチェスコでも、参っちゃうものね。

聖なる地を大事にする信者さんたちの様子を見れて、感慨深いものがありました。

小さき者として神に仕える…一切の所有物を捨てて、神に従ったフランチェスコ。
その姿に、当時の法王も、腐敗した教会を建て直すのはフランチェスコだ…と思ったそう。そんな自らをもっとも低くして仕えた聖人を、多くのイタリア人は心の拠り所にし、慕っています。

皆、欲を捨てて、フランチェスコみたいになれたらどんなに素晴らしいか…。
でもそれは難しいですよねぇ。
だから欲深い私たちにとって、フランチェスコは眩しい存在なのかもしれませんネ。

butako170

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by butako170 | 2015-04-29 06:35 | 修道院
アレッツォの骨董市
「アレッツォの骨董市は規模が違うから、一度行ってみるといいよ」
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何度か友人に言われていたのですが、片道170kmと微妙に遠くて、行けず仕舞いでした。
今回、イースターをBogro dei corsi というアレッツォの山奥で過ごすことになり、イースター当日の日曜日も骨董市が開催されるというので、午前中はそちらへ行くことにしました。

アレッツォは8年前にピエロ・デッラ・フランチェスカの『十字架伝説』のフレスコ画が残る聖フランチェスコ教会とグランデ広場をちらりと覗いたっきり。
街の輪郭も定かではなく…。なので今回の骨董市で街を歩くのは、嬉しいプログラムでした。
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さて、街の入り口は歩行者天国になっていて、通りの左右は出展者たちの展示品で埋め尽くされています。
なかには、年代物のブリキの仕掛け人形を、お客さんに熱心に説明している主人も。面白そうだったのでbutakoも思わず聞き入ってしまいました。
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『ガラクタ』と呼ばれるようなものもあり…。
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いろいろと冷やかしながら店を回っていると、聖フランチェスコ教会が見えました。
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あの『十字架伝説』に再会できるかな?
でもたしか予約制だったことを思い出し、ダメもとで中へ入ります。
すると今日は入場券売り場も無人で、教会へは皆普通に入っています。「ひょっとしたらイースターだから無料で解放しているのかしら?
もしくは4月の第一日曜日だから?」
事情は分かりませんでしたが、十字架伝説が見れるので、喜びつつ入場しました。
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後陣のフレスコ画へは策がしてあって入れなかったですが、遠くから堪能。このフレスコ画、修道女が花束を持っています。バラや青い花など…。このアイテムを持った聖女って誰かしら?
ご存知の方がいましたら、教えて下さいませ。



教会の見学を見終えて、街の中心グランデ広場中心へと向かいます。
傾斜のある広場は、あの『ライフ・イズ・ビューティフル』の舞台になったことで有名になりましたね。




ここはアンティークな家具がずらりと並び、壮観です。
広場を取り囲むように、教会や市庁舎、回廊などが並び、あたかも舞台装置のよう。
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ここでY婦人が、「このあたりに『マリーア、キアーヴェ(鍵)』で有名な小窓があったはず」とおっしゃいます。
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声だけの場面で、村人のシーンなのですが、マリアという奥さんに、鍵をくれ、と叫ぶと、小窓からぽーんと鍵が放り投げられて、それをナイスキャッチする…というもの。
何度も「マリア、キアーヴェ」のシーンは出てくるそう。
観客は思わずクスリと笑ってしまいます。
繰り返しはギャグの基本。
微笑ましいですね。

広場の一角にあるアンティーク屋さんの売り物の鏡を使って、熱心に身だしなみを整えているシニョーレを発見。
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思わず撮ってしまいました。

こんな感じで街をそぞろ歩き。
普段のアレッツォの街も落ち着いていて素晴らしいですが、骨董市が立つ日は、また違った趣がありますよね。
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満喫した後は、聖フランチェスコの聖地ラ・ヴェルナ山へ向かいます。
そこではとんでもないハプニングに見舞われるのですが…。
続きは次回をお楽しみに。

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by butako170 | 2015-04-20 04:36 | サグラ・祭り
とっておきの朝食
前回はアルベルゴ・ディフーゾの宿Borgo dei Corsi と提携しているレストランのお話をしましたが、そこで頂くことができる朝食について、一言。

このたびの滞在は、イースターとパスクエッタということもあって、レストランはフェスタ用のランチやディナーの準備がかなり忙しいなか、用意をしてくれました。
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毎日違った手作りケーキが出て来たのが、嬉しいところ。
しかも焼きたてですよ!
オーブンから出したばかりの焼き菓子って、何よりのごちそうですね。
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こんな感じで、地元のチーズとハム類が必ず出てきて、そして初日の焼き菓子は、ヨーグルトケーキ、

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2日目はイースターの大昼食会にカゼンティーノ地方で食べられているというPaninaパニーナと呼ばれる甘いパンです。
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「本来のものはもっと大きいのだけれど、一人分サイズに焼いてみたの。と供してくれたパニーナには、レーズンがいっぱい。
ペルージャの伝統菓子トルコロのような香辛料は感じませんでした。
シンプルにレーズンの甘みを楽しみながら、これと一緒にサラミを合わせるのだそうです。

ところ変われば、食も変わる。
カゼンティーノ地方の食を、また1つ発見できました。

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by butako170 | 2015-04-18 23:40 | イタリア年中行事
村で唯一のレストラン Il convivio dei corsi
Borgo dei corsi の宿をたいそう気に入った理由の1つに、提携しているレストランが非常においしかったことがあります。
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レストランから宿まで徒歩1分というのは、心ゆくまで食事をして、満腹のお腹をさすりながらバタンキューできる幸せ…というのは、何にも代え難いですよね。
(レストランのエントランスには昔ながらの大きな暖炉があります。)

このレストランIl convivio dei corsiに初めて1年前でしたが、ちょうどオープンしたての頃でした。
その際に頂いた料理の数々は素晴らしいものでした。
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パンも手作りで種類が多く、この村の粉挽き小屋で挽いた小麦を使っていると聞き、舌だけでなく心も喜んだことを覚えています。

「あの時以来、何度もメニューを変えているのよ」
カメリエーラのアンナリーサが、ウェルカムドリンクのプロセッコを注ぎながらそう言いました。

見ると地産のものをアレンジした豊富な(でも多過ぎない)メニューがあります。
Yご夫妻と楽しく迷っていると、

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「前回みたいにおまかせで、小さなポーションを少しずつ持ってきましょうか?地元の食材を使ったものをあつらえてくるわよ」

という素敵な申し出に、喜んでうなずきました。

まずは自家製のパンの数々。
ほんのりと温かく、小麦の甘い香りが引き立っています。
手作りグリッシーニもパリポリとプロセッコを飲みながら、料理を待つ時間をおいしく演出します。

(今回は写真を撮らなかったので、前回のを拝借)


まずはカゼンティーノ風アンティチョークと焼きラヴィオリ。
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ラヴィオリの中には、地元の羊のリコッタチーズが入っていて優しい味です。鉄板の上で焼いているので、ラヴィオリの皮がサクッとして中のチーズは絶妙な食感でした。
お皿にあしらわれているのは、自家製のマヨネーズ。アーティチョーク味で、ほんのりと苦すっぱくて春の味がしました。

大地の幸に良くあう赤ワインはこちらPeconio。
チェリーなどの若々しい果実味とともにスパイシーで芳醇な香りがあり、非常にバランスの取れたワイン。フィレンツェとの境にあるアレッツォのワイナリーVilla la Ripaのものです。

そして地元サラミの盛り合わせ。
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カゼンティーノ・グリッジョと言われる地元の豚を使ったパンチェッタは絶品です。
鶏レバーのパテも濃厚な味わいで、お酢で仕上げるウンブリアのものや、熱々で供されるフィレンツェのものとも違っていました。

プリモはキャンティクラッシコを練り込んだパッパルデッレにジビエのソースをあえた一品。
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野生の肉の臭みを消すためにふんだんに入れられたハーブのおかげで、臭みはなく、むしろ優しい味わい。幅広い麺に絡まって、麺とソースのバランスが素晴らしい。

そしてもう1つのプリモです。
パンコットをココット皿に入れ、グラタン風に焼いたもの。
カゼンティーノ・グリッジョのミンチが入っていて、良いアクセントに。
さすがにプリモ2品はきついので、ちょっと残してしまいましたが、貧しい農民メニュー(クッチーナ・ポーヴェラ)を再解釈したシェフのセンスが光っています。

そしてセコンドが香味野菜をあしらったタリアータ。
なんと牛肉はショウガ風味でした。
食感を残してソテーした野菜が美味。
満腹だったのにも関わらず、全部食べてしまいました。
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デザートは、春らしくイチゴのティラミス。
甘酸っぱくて、口のなかをサッパリしてくれます。
えてしてイタリアのデザートは甘過ぎますが、ここのはむしろ控えめ。
主役のイチゴをひきたてていました。

今回も素晴らしい料理の数々でした。
クロアチア人のシェフアンティとイタリア人のアンナリーサ。
ご夫婦2人で切り盛りするレストランは、評判が評判を呼び、今や美食のレストランとしてフィレンツェやアレッツォからも、たくさんお客さんが来るそうです。

「おかげさまで評判いいのよ」と笑顔のアンナリーサ。
手作りのパン、郷土の食材を使ってのレヴェルの高い料理は、わざわざ50kmの道のりを飛ばしても食べに来る価値がありますよね。
ガイドブックに載る日も遠くない…と感じたbutakoでした。
お2人の写真は去年のブログの最後の載っています。

結局、3時間くらい食事にかかっていましたが、これだけゆったりしながら食べて話して過ごせるのは、本当に贅沢なことですよね。
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このレストランの名前Convivioとは、饗宴という意味。
ラテン語のconviviumから来ており『共に生きる』から派生して饗宴という意味になりました。食事をするだけでなく、それを通して関係を深める=共に生きるに繋がるんですね。
たしかにおいしい食事があれば、自然に笑顔になり、話がはずみますものね。
また次回、このお店に来れることを願いつつ、レストランを後にしました。

                       butako170

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by butako170 | 2015-04-11 05:31 | リストランテ
カゼンティーノ 山間のチーズ工房
今週の日曜日はイースターで、週末から多くの人が連休のため休暇を過ごしました。
butakoもちょうど土曜日からアテンドをしたお客様と、トスカーナとラッツィオ州を巡りました。
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最初の2日間はトスカーナ。
カゼンティーノ地方は、トスカーナ州の北東に位置し、隣をウンブリア州の北端と接しています。
かのダンテもこの地方の風光明媚な様を愛でており、彫刻家ミケランジェロが生まれたのもこのエリアだそう。
(写真はpro loco Poppiより)

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今回のお客様Yご夫妻は、私の書いた『アルベルゴ・ディフーゾ』の記事を見て、宿泊場所を決められました。
素敵な宿とそれに付随したおいしいレストラン!
それだけでもその場所に滞在する意味がでてきますよね。

Ortignano Raggiolo(オルティニャーノ・ラッジョーロ)という寒村を拠点に、まず訪れたところは、チーズ工房です。

カゼンティーノ地方はペコリーノチーズの名産地。
宿のご主人イチ押しのチーズ工房は、Stia村のはずれの山の中でした。
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イースターを明日に控え、その準備に大忙しなのに、私たちのために生乳を取り置き、実演してくれました。
ここのご主人のジャンルーカさんが、チーズの説明をしてくれます。

まずは35℃に温めた羊の乳(朝5時と夕方5時に搾乳)に、凝固剤を入れます。
30〜40分ほどでお乳が固まるので、それを米粒大まで木の棒で撹拌していきます。
カステッルッチョのやり方よりも、粒を細かくしている気がしました。
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「ステンレスの撹拌機を使うところもあるのよ」と言いながらまぜるのは、ジャンルーカのお母さん。
御歳74歳ですが、まだまだお元気です。
話好きで「アレッツォに住んでるの?」などいろいろと聞くので、つい、身の上話にも花が咲きました。

撹拌後、2分ほど休ませると、小さな粒は鍋底へと沈んでいきます。
粒は一体にはなっておらずモロモロしていますが、それをステンレス台の上の型に押し込んでいきます。
フォルマッジョ=型に入れる…の名前の所以ですね。
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ギュウギュウと押し込んで、表面がかなり平になったかな、と思ったら、また中身をほじくり出して、ギュウギュウと押し込んでいくのです。
この作業を繰り返すこと4、5回。
「こうしてチーズの中の気泡を潰すのよ。チーズに空洞ができたら、そこからカビが生えてダメになってしまうからね」

なるほど。

そうこうしているうちに、バッボ(お父さん)も乳絞りから帰って来て、型入れ作業に加勢します。
ジャンルカ曰く
「バッボは型入れの作業が丁寧で、男性なので手の圧力が強いから、すごくみっちりと詰まったチーズができる」んだそう。
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そのためバッボが作ったチーズは、6ヶ月以上の長期熟成にし、マンマが作ったチーズは3ヶ月以内に消費する若い熟成用にするのだそう。

あまりにもジャンルーカがバッボの仕事を褒めているので、マンマはちょっと焼きもちを焼いて、「私だって、しっかり型に押し込んでるわよ」と負けずに言い返していました。
そんな様子が微笑ましい。

そして型に押し込んだ後は、チーズの上側に粗塩を置き、塩味を付けていきます。
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翌日は裏返して塩を載せ、こうして上下2回ずつ塩を置くことで塩が浸透します。
それを熟成させるのです。

熟成庫は別の町にある、というので、引き続き作業を見学します。
リコッタチーズのため、先ほどのホエー(清乳)を火にかけて86℃まで加熱していきます。
一度ホエーを漉すのも忘れずに。
チーズのカスが残っていると、口触りが悪くなりますので。

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途中、全乳を追加していましたが、それはリコッタチーズの量が増えるため。

温度が上がると、鍋底も焦げやすくなるので、その度に木の撹拌機で優しく底を叩きます。
「美味しいリコッタを作るためには、絶対にかき混ぜちゃ、だめよ!」
たしかに、私の地元の生産者でも、リコッタチーズの名手は、めったにかき混ぜたりしません。

そして温度が上がってくると、リコッタが出来上がり、ふわりと上に溜まってきました。
それを優しく穴あきレートですくっていきます。

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一口食べると、優しい甘みが口いっぱいに広がり、やさしい味がしました。
できたて熱々だったので、お腹がほっこりと暖まります。

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1987年にジャンルーカが工房を立ち上げるまで、紆余曲折があったと言います。
農業で生計を立てていきたかったのですが、山と隣接しているため、野生動物に畑を荒らされてしまいます。
そこで木こりをして、薪の販売をしていましたが価格の暴落で断念。
その後は食肉用の羊を飼育していましたが、これも安く買いたたかれるため、どうしようかと思っていたそうです。

そこから食肉用の羊から羊乳用の羊にシフトしていき、50頭から飼育はじめました。
採れたお乳をチーズに加工すると、在庫にもならずにきちんと売れていきます。
手応えを感じで、羊を増やしました。
現在は230頭いて、サルデーニャ産やフランス産など3種類の羊を混合で飼っているそうです。

毎日、乳搾りとチーズ作りの作業は大変だけど、両親と妻の協力があるからできるんだよ、と誇らしそうに言うジャンルーカ。
餌もこだわって、有機栽培の豆などを独自にブレンドしてもらって、取り寄せて使っています。

飼料にこだわり、家族で丁寧に作るチーズは、高品質で味が良いとこの界隈では評判になっています。
毎日休みもなく羊の世話とチーズ作りをしているけれど、それができるのは『パッション(情熱)があるからだよ』と語ってくれました。
ジャンルーカの素朴だけれど、まじめでチーズ作りが好きなことが、楽しそうに説明してくれる様子から伝わってきます。

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チーズ作り見学の後、貯蔵庫に行きました。
(工房と貯蔵庫&販売所は別の場所にあります)
壁の厚みが1mもあるベネディクト派の修道院を改築したお宅です。

熟成庫には、直径30cmほどのチーズがずらりと木の棚に並んでいます。
熟成が浅い1ヶ月のものから、3ヶ月程度の若いもの、5〜6ヶ月の中期熟成のものが置いてありました。
チーズの熟成する良い香りがします。

ジャンルーカは壁を指でなぞり
「うっすらと白いカビが生えているけど、これは良いカビなんだよ。緑のカビは良くないんだ」と説明をしてくれました。
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大体この部屋は15℃前後に保たれていて、良いカビが繁殖する適度な湿度に保たれています。
まれに夏の熱い日は、除湿器のある小さな部屋に移すの出そうです。

こうして美味しいチーズがどうやって生まれるのかが分かって大満足。
1kg13€ということで、ワンホール(1kg)をお買い上げ。
Yご夫妻も1ホール購入でしたが、スーツケースの重量に限りがあるのを残念がっていました。

これからは生のそら豆と若いペコリーノチーズを食べるのが旬ですね。

カゼンティーノのチーズ工房は、アットホームですばらしい作り手でした。

                             butako170

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by butako170 | 2015-04-09 18:03 | プレシディオ・食材
Auguri di buona pasqua!!
イースターおめでとうございます!
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毎年イースターの日は変わるのですが、今年は4月5日です。
ちょうど先週の土曜日に冬時間から夏時間に変わり、ずいぶんと夕方が長くなりました。
北関東並みに寒いウンブリア州ですが、最近は寒さが緩んできて、
皆、その陽気にウキウキしています。

今年の5月でイタリアに来てまる10年を迎えます。
どんどん世の中は便利になっていくけど(イタリアも例外ではありません)、
変わらずに受け継がれていくものの価値を愛でながら、
自分自身は少しづつでも、ステキに変わっていけたらなぁ、と思っています。

今後ともよろしくお願い致します。
(写真は7年前にノルチャからカステッルッチョまで羊と移動した時に撮った写真です。
5時間に渡る大移動、感動的でした!! 記事 )

粉川 妙
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by butako170 | 2015-04-05 00:00 | 報告
映画の撮影と食べもの
先週は、短編映画の撮影がスポレートで行われていました。
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友人で舞台女優のCが、初めて制作する短編映画。
夫ロベちゃんと私は、撮影部隊のお手伝いをしました。
私の任務は、映画のシーンで使われる食事を作ること!

映像の中の食事といえば、映画『かもめ食堂』やNHK連続ドラマ小説の『ごちそうさん』みたいに食が"準主役"みたいな位置づけの作品もあるけれど、まぁ、この場合は、食事中のシーンということで、そんなに重要でないみたい。

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あらかじめ、監督Cから「アリスタの牛乳煮込みとジャガイモのピューレ、ほうれん草のソテーを作っておいてね」とメニューを指定されていました。

撮影の1週間ほど前に、実際にアリスタ(豚フィレ)の牛乳煮込みを作ってみたのだけど、どうも切り口の色が美しくない。
切った表面の外側が牛乳で煮たら白いままなのです。

なのでちょっとコントラストがあった方がいいかな、と思い紅茶で煮てみました。

すると切り口の外側(茶色)と内側(ほんのりバラ色)になり、美味しそうに見えるじゃないですか。
ロベも同じことを言うし、監督に相談したら「それでよし」とのこと。

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どうせ作るんだったら美味しくしようと思い、前々日から豚には、ローズマリーと月桂樹、塩をすり込みスタンバイ。
5回同じシーンを取るので、念には念をいれて豚の塊肉4ブロック(3kg)を仕込みました。

前日の夜に、紅茶と香味野菜とともに煮込み、煮汁に漬けて自然冷却します。
当日の朝、塊肉を4mmの厚さに50枚分カット。

そして乾燥したジャガイモのピューレを牛乳とお湯で戻し、塩味を付けてバターを入れ5kg用意。
ほうれん草は冷凍のものを、ニンニクと鷹の爪で炒め3kg用意しました。
大量の食材の調理…これには思ったよりも体力を使いますねぇ。
給食のおばさんってすごい。

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いよいよ撮影開始です。
食事をしながら台詞をしゃべるシーンは、タイミングが難しいのか何度も取り直ししていました。
そのたびに、俳優さんたちはアリスタやピュレーを口に運びます。
これはなかなかの重労働。

しかも食事を挟んでの撮影にも関わらず、嫌な顔もせずに食べていました。

それどころか「アリスタ美味しい〜」など口々に言ってくれたのには感激。
ある女優さんは、カメラが回っていない所でアリスタを完食してくれました。
子役ちゃんは、ピュレーがおいしくて食べすぎたって、わざわざ撮影の合間に報告してくれました。(まぁ、粉末のものなんだけど、手抜きせずに牛乳とバターを入れたから良かったのかな)

非常に面白い経験をした数日間でした。
以前からフードスタイリストの飯島奈美さんの仕事ぶりなど、とても興味深く見ていたけれど、まさかそれを自分がやることになるなんて!(小規模だしレベルがちがいすぎますが)
とっても楽しかったです〜。

映画の完成が待ち遠しいなぁ。
                                  butako170

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by butako170 | 2015-04-01 07:02 | その他