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春の味覚 野生のアスパラガス
 
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 ここ数日、やっとスポレートも春らしい日和になってきました。
待ちに待った野生のアスパラガスの季節。今年は雨天と晴れ間が交互にやってきたおかげで、アスパラガスが大豊作です。
山の師匠ジョバンニに連れられて、カンペッロ村を訪れます。
やってきた場所は当たり一面のオリーブ畑。そう、カンペッロ村はイタリアでも有数のオリーブオイルの産地。村の大半が、オリーブの木で埋め尽くされています。

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 オリーブ畑を 区画するのに、昔から築かれてきたのがこの石垣。『ムーロ ア セッコ』(から積み壁)と申します。

中部イタリアだけでなく、南部でも見られる典型的なもの。もちろんセメントなどは一切使っておりません。一つずつ適した石を選び、手で積んでいくのです。

 石の選択と積み方には熟練の技が必要なので、今ではこれを作ることのできる職人も激減したそう。
 先人からの知恵のムーロ、後世にも残していきたいですよね。


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 さて、やってきたのがジョバンニの秘密の場所。 


 傾斜のきついオリーブ畑に、アスパラガスがたくさん生えていると言うのです。
半信半疑で彼の後を従います。

 と、生えてます。本当にあちこちにニョキニョキと。
しかも茎の太いしっかりした健康なアスパラガスが!

Butako大興奮。



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 ジョバンニは折から秘密兵器を車から取り出します。野生のアスパラ採り用ハサミです。(なんと日本のテレビショッピングで見た「遠隔バサミ」そっくり!)
「これがあると、アスパラガスの棘に煩わされることなく、取ることができるのじゃ」。

 私たちが採取するのは生えたての「子アスパラ」。たいてい親アスパラの根元に守られるように生えていることが多いのです。親アスパラは、葉も針のように固くなっているので、うっかり触れてしまうと、手を傷つけてしまいます。

なるほど、この秘密兵器はそれらをかき分けるのにも有効なのですね。

 ジョバンニはハサミを杖代わりにして、アスパラガスを見つけると、どんどん採り始めました。まだ要領を得ないButakoは、棘と格闘しながらも採り出します。

 アスパラガスは濃い緑色、もしくはこげ茶がかった赤紫色をしており、生い茂る雑草の中で、見事に身を隠しています。
やぶの中のアスパラガスを探すのは、結構難しいんですよね。
でもこの秘密の場所では、そんな心配は無用。だって本当にたくさん生えているんですから。


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 一時間もすると、二抱えの立派なアスパラの束ができましたよ。
Butakoは始終ハイテンション。それを見た師匠も上機嫌。

この日、ジョバンニは自ら取ったアスパラガスも、Butakoにプレゼントしてくれました。
2kgのアスパラガスは、自宅に帰ったらすぐに水につけシャキッとさせます。
頭の柔らかいところから2cmくらいの大きさにポキポキと手で折って、下ごしらえ。

フライパンで炒めたところに、卵をジュワッと回しかけ、ふっくらオムレツにしてもよし。
ニンニクと唐辛子で香りよく炒め、トマトソースを少量加えて、スポレートの手打ち麺ストランゴッツィにするもよし。
ブルスケッタ用にパテにしてもおいしいですよ。
ほろ苦くてかすかに甘みのあるイタリアの春の味です。

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 イタリア中に生えている野生のアスパラガスですが、これほどに愛執を持つのは、スポレート人くらいなものでしょう。サルデーニャでは、山で鈴なりになっていても、誰も見向きもしないんだとか。

アスパラを愛でるスポレート人。 
ここに住んでて本当に良かった。

                                           Butako
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by butako170 | 2008-04-28 02:20 | ウンブリア料理
念願のトランスマンツァ体験!(下)
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『家畜の道』とはよくできたもので、ノルチャとカステッルーチョを最短距離で結んでいます。つまり、一山越えるだけで両方の村を往来できるのです。でもこの一山…がなかなか大変なんですけどね。

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ひとたび広い舗装道路を横切ると、いよいよトランスマンツァの山場を迎えます。今までなだらかだった道も石ころだらけになり、あたりも岩肌が目立ち始めました。
 実はステファノ、ここでButakoが力尽きることを考え、友人にこの道路まで迎えをお願いしていたのです。でも疲れたなんて、口が裂けても言いませんでしたよ。だって、移動はこれからがクライマックス。これを見ずして帰るなんて、記者魂(なりきりButako)がすたると言うもの。迎えを丁重にキャンセルして、前進します。

 岩盤をさらに進みます。年老いた羊は疲れたのか舌を外に出し、息を荒くしています。
でもね、岩の割れ目生える草を食べながら歩くので、本当にゆっくりした歩みなんですよ。

 ノルチャの街がはるか下方に見えます。「ああ、もうこんなに山の上まで来たんだなぁ」、とノルチャの美しい風景を見下ろし、雪の残る山頂を見上げながら思いました。あたりは木々もまばら。吹きっさらしの風が容赦なくButakoたち羊たちを直撃します。
あたりは風の吹く音、動物の鳴く声以外、まったく音がありません。
なんという静けさ。なんという聖らかさ。

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荒野の真ん中に、たたずむ十字架。なんだろう…と思っていると、ステファノが言いました。「去年の夏、ノルチャの男性がここで亡くなったんだ。キノコ取りに行ったっきり帰ってこないから、村人が探しに行ったら、この場所に倒れていた。きっと雷に打たれたんだろうね」。彼は十字架の回りをきれいに掃除して、その場をそっと離れました。
 自然は美しい。でも時に脅威となります。
ステファノは事実を淡々と語るだけでしたが、自然の恐ろしさと人間の無力さをひしと感じました。

 
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さて、今回、難所が一つあるとしたら、山頂に至る最後の坂道でしょう。
なぜなら10年ぶりにルートを変更するからです。山頂までは坂が続き、道というより、だだっ広い草原になっています。彼がとってきた『傾斜の強い最短ルート』を変更し、『なだらか+ターンを繰り返すルート』に初挑戦。しかし肝心の羊が言うことを聞いてくれません。
それもそのはず。年老いた羊は以前のルートを覚えているので、そちらを頑なに通りたがります。若い羊もそれに同調します。

ステファノは、2匹の犬に合図して先導を促しました。
でも犬も言うことを聞きません。というよりも主人の命令の意味がよく飲み込めていないようです。
前進する羊たちを左折させるためには、犬は右回りで下手の羊に近づき、徐々に上へ方向転換させなければなりません。でも犬は何度も左方向に走り出しました。ステファノがいくら右にうながしても、すぐ左へ言ってしまうのです。

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バイ!デストラ.(右へ行け!) 犬に合図し出発をうながす。
ノー!(違う)            犬の首輪を持って、動きを止める。

なんと、このやりとりを繰り返すこと、20回。
ようやく犬たちも最後には理解し、480頭の羊は無事に新ルートを通ることが出来ました。

「犬の命令には忍耐がいるんだよ」とステファノ。いやぁ、本当に忍耐強い。Butakoなら途中で怒って声を荒げるだろうに、彼は冷静に20回も掛け声をかけ続けたのです。
「犬をね、絶対に叩いてはいけないんだよ。」とも。
「え?しつけの一環で叩くのって普通じゃないの?」
「犬を叩かずにしつけると、信頼関係が生まれるんだ。俺は一度も叩いたことはないね。」
えー?!そうだったんですね。知りませんでした。

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山頂に着いた途端、眼下に広がるのはカステッルーチョの大平原(グラン ピアノ)と雪を被ったベットーレの山々。春の太陽に反射して草は光り、雪の白さも光ります。
生命の息吹が充満しているそんな、風景。
美しい。本当に美しい。

吹きすさぶ向かい風に、負けじと歩を前へと進ませます。
と、同時に、着いた。やっと着いた…
平原を前に、言いようのない充実感が心に満ちていきました。

 「トランスマンツァは本当に美しい。10年やっているけど、毎回感動するよ」。

 
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水のみ場で憩う羊たち。たんと飲んでね。                                                                            Butako
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by butako170 | 2008-04-25 01:43 | ウンブリア自然・山歩き
念願のトランスマンツァ体験! その1
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パスクワ家のペコリーノチーズ作り見学から、過ぎること1ヶ月。(更新にタイムラグが)
待ちに待った羊のトランスマンツァ(家畜大移動)を体験しました。
4月20日前後にするのが恒例だそう。今年は16日(水)に予定していたのですが、例年に増して天候が不安定。延ばし延ばしにしながら、ついに19日(土)に決行しました。

曇りがちの天気。パスクワ家の次男坊ステファノは、不安そうに空を見上げます。
朝8時半、一向はノルチャの彼の自宅を出発しました。
480頭の羊を引き連れ、30km先の夏の定住地カステッルーチョまで大移動です。なんせ480頭もいるので、移動も一苦労。5匹の犬を巧みに操りながら、羊が安全に一匹も欠けることなく移動させるのです。

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Butakoが待ち合わせ場所に到着したとき、羊たちはノルチャの大草原で、のんびりと草を食んでいました。
「今、羊たちは朝食中なんだ」。とステファノ。
聞けばもう2kmほどの行程を歩いたそう。ダラダラと寝そべる羊もいます。
どの子も完全にリラックスしている様子。
これから始まる大移動を知ってか知らずか…。

 と、ステファノが大きな声を上げました。

ウワッ  トゥルルルルルル・・・・。
 奇声と言っていいでしょう。この掛け声は、羊に出発を促しているのです。
さぁ、トランスマンツァの始まりです。天候や羊のコンディションによっては、8時間、いや12時間もかかる体力勝負。果たしてButakoはこの長丁場に耐えられるかどうか。

 ステファノの相棒には5匹の犬が。犬にはそれぞれ役割がきちんと決まっています。羊を先導するのはこげ茶色の毛並みが美しい2匹の犬。お母さんと息子なのです。
ほら、ステファノが犬を命令して、けしかけたでしょ。命令はもちろんイタリア語。犬は人間の言葉が分かるって本当ですね。
それでは、あとの3匹は何をしているのでしょう? それはボディーガードの原理と同じ。2匹は主人の近くに、3匹は羊を野獣や不審者から守るべく、20mほど離れて群れ全体を見守ります。なるほど、合理的ですね。

 
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農道に差し掛かかりました。車が通ろうが槍が降ろうが、前進あるのみ。Butakoが「車が後ろから来たけど…」と心配そうに言っても、ステファノは「これだけの大所帯だから、避けようにも無理だね。運転手に忍耐してもらうしかないさ。」と気にも留めない様子。
農道を過ぎると、『家畜の道』に入ります。家畜の道は移動のために羊だけでなく、牛や馬も往来する道。足場が悪いうえに牛糞、馬糞だらけ…。不思議と無臭なのがせめてもの救い。

 羊のマーチは続きます。羊はとても臆病なので、古着が捨ててあったり、動物の死骸があったり、大きなビールケースが道を塞いでいると、怖がって進もうとしません。
先頭の羊が止まると、後に続く羊も連鎖して止まるのです。そうなると480頭全員が金縛り。足を踏ん張り、顔を引きつっている羊を見ると、ちょっと笑えます。「そんなに怖がることないのに」って。
それを解くのはステファノの役目。例の掛け声をかけて、せかします。それでも無理なら、犬を使うのです。

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 さてさて、知りたがり屋のButako、羊の背中の模様が気になります。これはP3という文字で「パスクワ家、3代目」という意味。本当はステファノの代で4代目なのですが、まだ古いマークを使っています。赤と青に分けているのは、ステファノとお兄さんの羊を見分けるため。単に税金対策だそうですけど。(一人で500頭所有するより二人でした方が安くなるそう)

道中、ステファノとButakoの会話も弾みます。29歳だと思っていたステファノは27歳でした。
高校を卒業してすぐ、羊飼いの家業を手伝い始めました。10年前のことです。
トランスマンツァも今回で10回目。記念すべき節目です。
「10年前の11月。カステッルーチョからノルチャへ下山するのが、自分にとって始めてのトランスマンツァだったんだ。既に山は雪に覆われていた。羊たちは、寒さでヒヅメを傷めてしまい、12時間もかかってしまったんだ。普通でもゆっくり歩く羊が、さらにゆっくり歩いたし、休憩もたくさんしたからね。もう大変だったよ。」
Butakoはすかさず「翌年は、嫌気がさして辞めようと思わなかったの?」と聞くと、
「翌年は、普通道を除雪車の跡を通って、4時間で下山したよ」と。さすがはステファノ。

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「羊を失くしたことは?」
「10年間で1度だけ。ひどく年老いた羊だった。ゆっくり歩くんで、ヤバイなぁと思っていたら、案の定、途中でいなくなってしまった。1週間捜索したけど、とうとう見つからなかったなぁ。」
彼の声は、ちょっぴり湿っていました。大切な羊を失ったこと、ショックだったに違いありません。

 厚い雲の切れ間から、春の日が顔を出しました。肌寒さが一瞬和らぎ、明るい日差しとともに大自然のただ中にいる素晴らしさを感じるのでした。

   次回に続く。
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by butako170 | 2008-04-23 16:00 | プレシディオ・食材
スロー風土の食卓から 16.オリーブ油
神戸新聞連載記事
『スロー風土の食卓から』 ~イタリア通信~
(記事をクリックすると拡大されます)

 ウンブリア州の真ん中に位置するスポレートは、オリーブ油の名産地。工場だけで生産されるだけではなく、農家の人たちも実を作り、近所の圧搾所でオイルにします。
 いわゆる『我が家のオリーブ油』ですね。

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                                            粉川 妙
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by butako170 | 2008-04-19 03:07 | 神戸新聞 掲載記事
BIO(有機栽培)について思うこと
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数日前、TVのドキュメンタリーで有機野菜と地球温暖化についての特集をしていました。
とても深く考えるきっかけになったので、報告しますね。実は主婦としてのButakoは、有機野菜にはあまり興味がなく、せいぜい有機ニンニクくらいしか買っていませんでした。だってスペイン産や中国産ニンニクは味も香りも薄く、変なにおいがするから。

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by butako170 | 2008-04-16 04:40 | プレシディオ・食材
密着・パスクワ家の手作りリコッタ
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ペコリーノチーズを作った後の残った凝乳ですが、これは捨てずにリコッタチーズにします。
このプルプルのリコッタ、ほっぺが落ちるほど美味しいんです。


 作り方はいたって簡単。
チーズを取り出した後の乳(凝乳)に水を加えます。(冬場の乳はとても脂分が多いので、水で少々薄めます)
この凝乳を再び火にかけて、沸騰させること15分…。

そうリコッタとは再び過熱するという意味。
名は体をあらわす、とはこのこと。

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鍋肌にモロモロした物体が現れましたねぇ。

火を止めて、しばし待ちます。
すると、モロモロと透明な液の分離がさらにすすみます。


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 パスクワ・ママ、十分分離したのを見計らって、穴あきレードルでこれをすくいあげ、ザルに移していくのです。ゆっくり、ていねいに。

できたばかりのリコッタは、ゆるゆるしていて、見るからにおいしそう。
合計20個ほどの ざる豆腐ならぬ、リコッタの完成です。

小さなザルに上げてくれたリコッティーナはButakoたちへのお土産。
なんというフォスピタリティでしょう。


さて、パスクワ・パパが、チーズを売りに出かけたのと入れ替えに、息子ステファノが乳しぼりから帰ってきました。すでに彼とは師匠を通じて知り合いになっていたので、気さくにあいさつを交わします。

羊の乳を搾るのはステファノの役目です。
5時に起きて300頭の羊の乳をしぼります。夕方も同様。これだけの羊の乳しぼり、易しいことではありません。
そしてエサやりと羊小屋の掃除。
若干28歳で、不満も言わずに、これらの仕事を毎日こなすなんて、すごいと思いませんか。
いいえ、不満どころか誇りをもっているのです。

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(写真はパスクワ家の前のノルチャの山)

Butakoがこの若き跡継ぎに、頼もしく思い
「パスクワ一家のチーズがもっと有名になればいいのにねぇ。昔のやり方そのままで、美味しいチーズを作るんだもの。」と言うと

「そうなればいいかもしれないね。でもこうやって家族が作るチーズは数がしれている。羊の数も限られているよね。有名になってオーダーが増えれば、伝統的なやり方では生産が追いつかなくなるんだ。」と彼。

そうでした。エミリア・ロマーナ州で有名な『クラテッロ』は、手仕事で作られた生ハム。
有名になったとたん、工場で大量生産が始まり、味が極度に落ちたという例があったではありませんか。

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一つひとつ丁寧に人が作るからこそ、価値があります。
昔の木枠を使い、彼らの手の感覚で一つずつ、生み出されるチーズは、唯一無二。

また、そのエリアでしか食べられないからこそ、本当の味が分かるというものです。
その土地のパンやワイン、肉とともに食し、そこの空気と共に味わうことで、チーズの美味しさが、舌だけでなく心で分かると、Butakoは思っています。

お土産のリコッタは、早速クルミと和えて、パスタのソースにしました。
残りはハチミツをかけて、デザートとして食べました。
羊臭さがまったくない、マイルドで濃厚な味。塩を加えると、甘みが一層増します。

パスクワ一家のみなさん、ありがとう。
4月20日前後には、夏草を求めて、200匹の羊と共にカステッルッチョまで大移動するそうです。徒歩で8時間のノンビリ行脚に、Butakoもついていくつもり。
レポート乞うご期待!

                                               Butako
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by butako170 | 2008-04-12 20:55 | プレシディオ・食材
密着・パスクワ家のチーズ作り
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 今日は、ノルチャでペコリーノチーズを作るパスクワ家の朝の風景をレポートします。
ペコリーノは羊の乳で作られるチーズ。
中部イタリア(ウンブリアやトスカーナ、サルデーニャ島など)では、古くから羊の放牧が盛んで、チーズ作りもかなり古くから行われてきました。
最古のチーズといわれるのはローマ産ペコリーノ。ローマ建国の神話にペコリーノも登場しています。

さて、師匠ジョバンニの遠い親戚にあたるというパスクワ一家。
昔ながらの製法を守り、毎日1ダースほどのチーズを手作りしています。
その一部始終をカメラに収めてきましたよ★

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 朝8時。銅製の大鍋を火にかけ、羊の乳を温め始めます。
乳の温度が39℃に達すると、すかさず天然の凝固剤(羊の胃液)を加え、乳が焦げ付かないように混ぜ続けます。
ここまでの作業がパスクワ・ママのお仕事。乳は41℃に達しています。

銅鍋の肌に乳が生クリームのように粘ってきたように思ったその瞬間…。
パスクワ・パパも加勢して二人がかりでかき混ぜ始めました。
パパはミスティコという突起のある木製の棒で、ママは手で混ぜます。
しかもかなり激しく。

するとどうでしょう。ある時点で鍋の中はチーズのかたまりと乳とに完全に分かれているではありませんか。



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そのかたまりをママがたぐり寄せ

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糸で切り、

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取り出します。
慎重に、慎重に。まるで生まれたての赤ちゃんをお風呂に入れているかのように。

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それを銅鍋のわきにスタンバイしておいた木枠の中に押し込めます。
最初は「そんな大きいかたまり、入りっこない」と思っていたのですが、チーズに含まれた水分をギュギュッと押しながら抜いていくと、あら不思議。奇麗に木枠の中に納まりました。
朝の夫婦の共同作業…。

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こうして全部詰め終わると、作業場の隣にある貯蔵室で乾燥させます。毎日塩をチーズの表と裏に載せて、塩味をつけていくというわけ。
チーズは一日にして成らず。
このように塩を取替えつつ、1ヶ月間寝かすとできあがりです。
1ヶ月で出荷するペコリーノはまだ熟成が浅く、比較的クセのない味です。なめらかで優しい、でもミルクの味はきちんとします。
今の時期なら、この早熟ペコリーノと旬のソラマメ(生)を食べるのが中部イタリアの春の味覚。ワインとともに食べると、最高なんです。

200頭の羊を飼うパスクワ一家。
冬の間は乳の出がすくないので、一日1ダースほどしかチーズが出来ません。しかもすべて手作り。手間ひまがかかっており、量産は不可能です。そういうわけで、手作りペコリーノ農家は激減。今では工場で大量生産されるものがほとんどだとか。
そこでスローフード協会は、この地域の手作りペコリーノをプレシディオに認定し、保護を促しています。

*次回は残った乳で作るリコッタチーズ作りをお伝えします。

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by butako170 | 2008-04-09 06:05 | プレシディオ・食材
スロー風土の食卓から イタリア通信
『スロー風土の食卓から』~イタリア通信~
■15.収穫祭   郷土料理楽しめる好機

 写真をダブルクリックすると画面が大きくなります。
イタリアの田舎で、初夏から秋まで行われる収穫祭=サグラ。
郷土料理が安く食べられ、雰囲気も素朴で素敵ですよー。            

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粉川 妙
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by butako170 | 2008-04-06 19:13 | 神戸新聞 掲載記事
ロベの作品 『青い女性の肖像』
 長らくロベちゃんの絵をのせていませんでしたが、2作目を公開したいと思いますー。
こちら『青い女性の肖像』。
ことしの2月に完成させました。80cm×100cmです。

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これは夜に室内で撮ったもの。
そして以下が翌日屋外で取ったもの。

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同じ絵なのに、だいぶ違った印象に見えます。
この絵はとても不思議で、光や見る角度によって、印象がかなりことなります。
以前、フランチェスコが夕方、我が家に来て、この絵をみたときは『きれいな青い色だね』と、そこに人物像が描かれているのに、気づきませんでした。
そう、じっくり見ないと、見えない絵なのです。
ロベルトは、ガラスの向こう側にきみがいる印象で描いたんだ…と言っています。

最近、地元の有名な画家とロベルトは出会うきっかけがありました。
話がはずんで、この画家さん「ロベの絵を見てみたい」というではありませんか。
そこで、昨日、絵を彼のアトリエまで運び、見せてきました。

感想は…「素晴らしいね」と褒めてくれるではありませんか。
5月20日に開催される展覧会に出したい、と打診してくれました。まだ本決まりではありませんが、もし出展が決まったら、かなりの朗報です。

                                             Butako
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by butako170 | 2008-04-05 20:51 | ロベルトの作品
ダイオキシン検出モッツァレッラの顛末
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昨日テレビをみていて、気になるトピックスがありました。
皆さんもご存知のように、イタリア産のモッツァレラチーズ(水牛の乳)の輸入を日本と韓国は見合わせたニュースがありました。問題はモッツァレラチーズから検出されたダイオキシン。165社のうち25社のチーズから基準値を上回るダイオキシンが見つかりました。

TV番組では、現場のカンパーニャ州の様子をレポートしていました。
水牛の乳から作られる本場のモッツァレッラは、味も濃厚で、牛乳由来のものとは異なります。ナポリを州都とするカンパーニャ州がこのモッツァレラの里。イタリア全土の90%のモッツァレッラはカンパーニャ産なのです。
今回、取り上げられていたのは現場の様子。酪農家とチーズ生産者の両者が困惑していました。

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酪農家の言い分:生産者は東欧やインドからの水牛の乳を混ぜて、チーズを作っている。ダイオキシンはそっちの外国産の乳に含まれていたものだ。
★でもモッツァレラチーズはDOPに指定されており原材料の産地は限られているはず。(例えばイタリアの○○産の水牛の乳しか使えないという指定を受けているはず)
この発言は、生産者による『DOPの基準違反』、『データ捏造』をほのめかしていることになります。
*DOPとは製品の伝統性や製法を失わないように、原料の産地や製法などを細かく定めた基準です。

生産者の言い分:地元産のえさ(藁などのサイロ)にダイオキシンが含まれたにちがいいない。藁の生えている場所には、大型電化製品や工業廃棄物が投棄されているから、きっと土壌汚染が起こったんだ。
★…そう、カンパーニャはマフィアの影響で、ゴミ問題が深刻です。野原や丘への不法投棄が日常化しています。たぶんこちらの理由からダイオキシンがエサを通じて、チーズに混入したのでしょう。

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 お互い責任転嫁です。
でも事態が明確にならない限りは、チーズ作りは再開できません。
どちらも損失がかさむばかり…。
でも内容分析するのに86000ユーロもかかるというではありませんか。
こんなときこそ州が分析費を助成してやればいいのに、と思います。

ゴミ問題も解決できないカンパーニャ州に、救済を求めても無理な話かもしれませんが。
一日も早い問題解決を願うばかりです。

*日本はイタリア当局の「モッツァレッラ安全宣言」を受けて、輸入を再開したもよう。
でも当局の言い訳は適当で、「165社中たった25社にしか検出されなかったので、大丈夫」…という筋の通ってないものだったようです。
基準値以上のダイオキシンの量が25社で検出されたということは、それ以外の生産者でも基準値未満のダイオキシンが検出されている可能性もあるわけだし…。
Butakoはゴミ問題から来る環境汚染を解決しない限り、この問題の根本解決はないと思ってます。

                                            Butako
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by butako170 | 2008-04-03 01:59 | その他