カテゴリ:修道院( 5 )
雪のラヴェルナ山
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山を登ると、そこは雪国だった…。
ほんの3週間ほど前。4月なのに雪だなんて!

4月5日(日)のイースターの日、お客様とカゼンティーノ地方に宿泊し、その日の午前中はアレッツォのアンティーク市を楽しみました。

昼食はどのレストランに入っても、イースターのプランツォーネ(大昼食会)で、きっと時間を取られるに違いない、と思い、ランチも取らずにアレッツォからラヴェルナ山へ向かいました。

土曜日の雨も奇跡的に上がり、やっぱりイースターだから神様の恩情かしらネ、などと言いながら、カゼンティーノの山奥へ車を走らせて行くと…。

季節は逆戻り。
横殴りの雪です。

そもそもなぜラヴェルナ山を選んだかというと、かの聖フランチェスコに奇跡が起こった大事な聖地だから、これは見ておこう、というbutakoの独断でした。
彼の眠るアッシジを訪れる人は多いですが、交通の便の悪いこの聖地まで、わざわざ訪れる人は少ないでしょう。
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(写真:ジョットが描いた『聖痕を受けるフランチェスコ』アッシジ大聖堂 wikipediaより)

その奇跡とはこういうものでした。

フランチェスコは、その死の2年前(1224年)、普段から瞑想の場として慣れ親しんだラ・ベルナ山を訪れました。そこでイエスの苦しみを味わおうと、イエスもかつて行った40日の断食を行っていたところ、6枚の羽を持つ天使セラフィム(日本語では熾天使:してんし)が現れ、フランチェスコの両手、両足に聖痕(せいこん)を授けたそう。
この聖痕とは、イエス・キリストが十字架に磔(はりつけ)にされた際、打たれた釘の痕のこと。

このフランチェスコの奇跡にちなんで、ここは聖なる場所として、巡礼者が絶えない場所となったのです。1500年代には3万人も収容できる施設が、山の周辺にできたといいます。
こんなに来るのが困難な場所なのに、彼の根強い人気がうかがい知れますね。

ちなみに、セラフィムが聖痕を授けているとき、金色のビームが出て、それがフランチェスコの肢体に焦点していますが、この表現を初めてしたのがジョットなんですって。
その後、このテーマの聖画が描かれる時は、このビームはお約束の表現になったそう。

それでは中に入ってみましょう。
雪が激しかったので、あまり写真はないです。
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結構大きな食堂や、休憩所を通り、
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ややすぼまった通路(一部岩壁になっている)を通り抜けると

教会や礼拝堂群がありました。

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ちょうどイースターの礼拝を行っている最中で、聖職者や信者が鈴なりになって、

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フランチェスコが聖痕を受けた小礼拝堂へと集っていました。(後から追いかける私たち)
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ここの礼拝堂やロッジャ(屋根のある廊下)には、ルカ・デッラ・ロッビアの作品がたくさんあります。
これを目当てにやってくるロッビア・マニアもいるくらい。

ちなみに聖痕を受けた場所には、キャンドルが灯されています。
こういう演出、イタリアって多いですよね。

ミサも終わり、先ほどの教会前の広場へ行きます。
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なんて寒々しいんでしょう。
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下界はどんな感じだろう。
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ほら、分かりますか?
雪雲が切れていて、その下は雪など降ってはいません。
寒いのはここだけなんですねー。

カゼンティーノ地方は春の訪れが遅いと言いますが、ここに来て納得しました。
ちなみにフランチェスコが40日の断食を行ったのは8月のこと。
それじゃあ、避暑地なみに涼しかったに違いない。
空腹と喉の渇きに、暑さじゃ、いくらフランチェスコでも、参っちゃうものね。

聖なる地を大事にする信者さんたちの様子を見れて、感慨深いものがありました。

小さき者として神に仕える…一切の所有物を捨てて、神に従ったフランチェスコ。
その姿に、当時の法王も、腐敗した教会を建て直すのはフランチェスコだ…と思ったそう。そんな自らをもっとも低くして仕えた聖人を、多くのイタリア人は心の拠り所にし、慕っています。

皆、欲を捨てて、フランチェスコみたいになれたらどんなに素晴らしいか…。
でもそれは難しいですよねぇ。
だから欲深い私たちにとって、フランチェスコは眩しい存在なのかもしれませんネ。

butako170

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by butako170 | 2015-04-29 06:35 | 修道院
モンテファルコの聖キアラ祭
先週8月15日は「フェッラゴストの祝祭」(聖母被昇天の祝日)があったため、全イタリアは休みモード。バールや店は一週間お休み…というところも多く、日本のお盆休みと似ている感じ。

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8月16日、17日はButakoの所属する聖歌隊の晴れ舞台でした。
モンテファルコの聖キアーラ教会にて歌の奉仕があったのです。モンテファルコはスポレートから20KMほどに位置し、赤ワイン・サグランティーノで有名です。中世の街並み残るこじんまりとした可愛い街。
この街の守護聖人=聖キアラを祭る一大イベントが先週あり、祭りの要ともいえるミサで賛美しました。賛美は日本のプロテスタントのものとは異なり、イタリア語、ラテン語、ポルトガル語もありちょっと難解です。古いスポレートの賛美歌も織り交ぜながら、パイプオルガンの調べにあわせて、四重にハモルのです。ラテン語などの古い歌はマイナー調で構成されていて、オリエンタルにも感じる不思議な調べ。

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聖歌隊の歌う場所は、パイプオルガンのある2階部分。この場所に上るの、あこがれてたんですって。ミサの進行に合わせて、うまく賛美をあわせていきます。
司祭が入場するときの歌。
聖書朗読の合間をつなぐ歌。
正餐(せいさん)式のときの歌。
最後、聖キアーラのみこしを担いだ司祭が退場するときの歌。

式は歌によって華美に彩られていきました。みんなの息はピッタリ。さすが、14年間もこの祭りの奉仕をしているだけのことはあります。
二日間の奉仕が終わった時、一同ある部屋によばれました。

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聖キアラ教会の修道院の一室です。
テーブルには美味しそうなお菓子がたくさん並べてあります。手作りのケーキにクッキー★
スオーレ(修道女)の聖歌隊に対する心ばかりのお礼でした。
  アニスの種の入ったクッキーやメレンゲ、作り方はこの修道院に昔から伝わるレシピを元に作ったそう。ケーキはストゥルーデルといって薄い生地にりんごやレーズンを詰めて焼いた、香り高いドルチェです。




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格子越しにスオーレに挨拶しました。「こんな素敵な手作りのお菓子ありがとう」。
「あなたも聖歌隊で奉仕しているの?」東洋人の私が珍しいのかいろいろと質問してきます。
話が弾んだ頃、Butakoは思い切ってこんな話をしてみました。
「実は去年、修道院で料理を学びたくて、アッシジまで行ったんだけど…」
どこの修道院も受け入れてくれなかった、と言うと
「そうね、部外者は修道院内に入れないから、仕方がないわね。でも料理が知りたいなら、ちょっと待ってて。うちの修道院のレシピが本になってるのよ」といいつつ持ってきてくれました。
そしてButakoにプレゼントしてくれたのです。

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中を見ると、この修道院の歴史、建物、そして50以上もの料理のレシピが載っていました。
表紙には修道女の姿が描かれているかわいらしい本。
こんな形で修道院のレシピが学べるなんて。思わぬ本のプレゼントに、心が温かくなりました。

                                              Butako
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by butako170 | 2007-08-21 04:45 | 修道院
貸しきり見学?  セラの修道院ミュージアム
 翌日は、カルロ(CARLO)に修道院ミュージアムを案内してもらいました。
セラ・デ・コンティには3つのモナステロ(修道院)があったのですが、現在はパオラのところ1つを残して閉めてしまいました。
閉鎖した修道院のうち一つは、役場兼ミュージアムとして再生されているのです。その役場で働くカルロ。元修道院だけあって、働き心地がいい・・・と信仰深い彼は言っておりました。

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 半地下にある修道院はなんと土曜の午後と日曜しか開館していません。今、土曜の午前中。よってbutako誰もいないミュージアムを貸しきり状態で見学することに。
このミュージアム大変趣向が凝らされています。ヘッドフォンをつけると、修道女たちの会話が始まります。その声に従って閲覧するのですが、展示物の説明はもちろん、当時の衣服や手紙に触れたり、レース編体験をしたり、草の種をもらったり?!と実際の修道院を疑似体験できるようになっています。

そしてその隣の展示場も本当に見事。(ここはヘッドフォンなし)修道院で長年使っていた、台所用品、チョコレートを流す木製の鋳型、中身のまだ残る薬品、司祭の着ていた礼服、精巧な蝋人形細工・・・など本当にたくさんの展示物が置かれていました。
これらほとんどは、修道女たちの手によって作られたものなのです。
彼女はちは、『働け、そして祈れ』をモットーに勤労と祈りの一生を捧げました。それが凝縮されたミュージアムでした。

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 カルロは言います。『ここまできちんと修道院内で保存されているのは、珍しいことなんだ。修道院によっては、お金欲しさに自分達の作ったものを売ったりしたんだ。だから、一般の市場でも時々見かけるだろ?その点ここセラの修道女たちは、子孫に素敵な遺産を残してくれたね。』

ほんと、その通りです。わずか人口3000人ほどの小さな街セラ・デ・コンティ。中世の外壁が残る街です。その街の形は空中から見下ろすと、大きな船の形をしています。そして船頭部分にあたるところに、パオラの修道院があるのです。あたかもセラの街を守るかのように。
でも、それは本当かもしれません。この街の住人は一人残らずパオラのことを知っていて、パオラのことが大好きで、パオラのもとに集います。パオラは修道院から1歩も出ないのですが、村人みんなのことを知っています。そして彼らのために祈っているのです。
なんて素晴らしいことでしょう。たった1泊しかしなかったけれど、ここで多くの大切なことを教えてもらいました。今度はフォレステリア(宿坊)が開いているときに、また会いに来ますからね。
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パオラからのしおりのプレゼント。裏にはbutakoにあてたメッセージが。ロザリオには珠が10粒。これはアヴェ・マリアの祈りを10回唱える時、珠を指でなぞりながらカウントするため。
そして、庭から折ってきた梅の花が。心のこもった粋なプレゼントが、心に沁みました。
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                                                Butako
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by butako170 | 2006-03-11 04:14 | 修道院
二人っきりのチェルトーザ(CERTOSA)修道院
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 チェルトーザ修道院はシトー派(Cistercensi)の修道院です。シトー派はもともと聖ベネディクトゥス修道院から派生しました。なので「祈り、働け」をモットーとする聖ベネディクトゥス会則(戒律)をベースにして、外界との接触を絶ち、自給自足し、より厳格に生活をしているのがシトー派なのです。そのためか、修道院の装飾はあくまでも控えめ。
なかにはキオストロ:CHIOSTRO(回廊つき中庭)が二つあり、大きいほうのキオストロには芝生がひかれ、回廊の上部にはサントの顔の陶器(CERANICA)がはめ込まれていました。こんな開放的なキオストロを見たのは初めてです。陶器はもちろん修道士たちの手によって作られたもの。

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 次に、修道士の生活していた部屋を見せてもらいました。なんと、一人ずつ完全独立アパート形式になっています。ひとつの部屋にトイレ、台所、畑までついていて、そこで生活が完結する造りです。究極の外界との拒絶です。(現在未使用。修道士たちは他の建物で生活しています。)
彼らは週に一度だけ、皆で集まって食事をするといいます。それをバスコのレストランでは体験できるという話。(要予約)

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 その後、石造りの中庭に出て、礼拝堂へ入ります。素晴らしい装飾。
礼拝堂の内部、壁の周りをぐるりと椅子が囲んでいます。(司祭用かしら?)椅子の肘掛飾りには、セイレーンのような女性の胸像があります。(肘掛のひとつずつについてある)
『この飾りは、とても独特なんだよ。』とバスコ。
「男性修道院にこんなボインな飾り細工をしていいんですか?」とすかさず突っ込むbutako。

 そんなこんなで、誰もいない修道院を見せてもらっちゃいました。忙しい合間に案内してくれたバスコに感謝です。彼のレストランこれからもずっと盛況でありますように。
また、butako食べに行きますから、その時は嫌な顔せずにいろんな話聞かせてくださいね。

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by butako170 | 2006-03-11 01:12 | 修道院
修道院行脚
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 フィレンツェ郊外の修道院がいくつかあると聞いていたので、今日は巡ることに。その前に市場でものぞいてみますか。新鮮な野菜、地元のサラミ、チーズ、トスカーナのパンなどが豊富に揃っています。とあるサラミ屋さんで、日本人発見!なにやらペコリーノチーズを買いたいらしいのですが、2種類あるので迷っています。店屋のオバチャンは英語で上手く説明出来ないので、イタリア語で言うのですが、彼らには理解できません。(ちなみに英語はすごく堪能でした。)
 よし来た、butako出番です!butakoのなんちゃって通訳により、彼らも納得して買い物できたよう。とても感じのいい若夫婦で、聞けば旦那さんがロンドンにお仕事で駐在しているそうです。
 旅は出会いのチャンスであふれています。一人旅ならなおさら。だんだん一人旅の悦にはまってきているbutako。たくましい限りです。

 昼前には、フィレンツェ市内にある修道院にたどり着きました。ここにカプチーノ(カプチン修道院の)通りという名の通りがあるのですが、その名のとおりカプチン修道院(男女とも)があります。またサン・ヴェネディットーネ修道院やかつての神学校もあります。(現在は大学になっている)
そんな神聖な地帯にbutako潜入!

 カプチーネ修道院(女)の礼拝堂が開いていたので、入ってみました。お昼のミサの時間のよう。『聖マリアの祈り』と『主の祈り』をひたすら繰り返す彼女ら。最初は単調な祈りが退屈に思えたのですが、だんだん心が落ち着いて来ました。祈りがひと段落したら、聖歌を歌います。伴奏はなく、プロテスタントの聖歌とは全く違う歌でした。これを5,6回繰り返し、礼拝は終了。本当に行をやっているっていう感じで、その神聖さに感動を覚えました。

それから200Mほど離れたサン・ヴェネディットーネ派のS.Marta修道院を訪ねました。ここはフォレステリア(宿坊)があるというので、素敵だったら泊まるつもりだったのですが、只今工事中。きっとパスクワまでに完成させるつもりで作業を進めているのでしょう。
 修道女とお話したのですが、あまりピンと来ませんでした。サン・ヴェネディットーネ修道院はイタリアで有名な修道院のひとつです。でもそれぞれ修道院ごとに独立していて、共通の規律に則りながらも自由度は高いそうです。修道女の服もバラバラらしい。

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 これらの修道院群から10分ほど下ったところにカプチーニ修道院(男)があります。ここは院直営のerboristeria(ハーブ専門店)を併設しています。Butakoが行った時はお昼休み。なので夕方出直してきました。中に入ると普通の薬局といった感じ。
Butakoはここで整腸剤を購入。なぜってbutakoがほんの30分そこにいる間に3人もの人がその薬を買っていったから。店員のおじさんに聞いてみると、この薬は副作用もなく効果もいいので、イタリア全土から発注が来るそう。(送付書が貼られた商品を得意そうに見せるおじさん。なるほどミラノ、サルデェーニャ島、パレルモと書かれたあて先を見て納得。)

 『こんな素晴らしい薬を修道士たちは作っているのですね。』と言うと、残念ながら今は作ってないそう。10年前に法律(薬事法)が変わって、薬を作る基準が厳しくなったので、現在修道院で薬を作ることは不可能になっています。だからといって、カプチン修道院の薬を途絶えさせる訳にはいきません。基準を満たした工場に製造を委託し、現在も販売しています。当然、この秘伝のリッチェッタ(レシピ・製法)は立派な特許なのですから。

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 おじさんと話し込んでいたら、隣の礼拝堂から鐘の音が・・・。月曜の夕方だというのにミサがあるそう。Butakoも参列しました。
 礼拝堂に入ってビックリ。平日の18時半なのに結構人が来ています。でも神父の説教を聞いて納得。これがすごく面白いんです。内容は真面目そのものでした。『自分の全てのものを他人に与え、与えつくしなさい。自分に何もなくなったとき、神からの恵みが雨のように降り注ぐから・・・。』といった事でした。そのメッセージを声色を変えつつ、面白い例えを交えつつ語ります。さながら、漫談を聞いている感じ。これなら皆来るな、週明けでも。ミサ終了後、神父と少し話しをしました。神父はとても温かく、butakoの来会を歓迎してくれました。

 カトリック修道院・・・伝統と格式のある巨大な組織。修道院の宗派だけでも幾つあることでしょう。今日はそんな修道院のほんの一片を垣間見させてもらいました。とても素敵な一日であったことは言うまでもありません。

                                                Butako

        
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by butako170 | 2006-03-11 01:08 | 修道院