イタリアのヴェネト州には2種類の陰干しぶどうから造ったワインがあります。
アマローネ amarone とレチョート recioto です。 レチョートは糖分を残して甘口にするのに対し、アマローネは糖分を完全発酵させて辛口に仕上げます。 vini nel mondoのデグスタッツィオーネで、1857年創業の老舗BERTANI社の年代別アマローネの飲み比べを行いました。 なんと、さかのぼること42年! 42年前のブドウで作ったワインって一体どんな味?! <<ワイン・データ>> ワインの名称:AMARONE DELLA VALPOLICELLA CLASSICA (DOC) ブドウの種類:Corvina Veroneseコルヴィーナ・ヴェロネーゼ、Rondinella ロンディネッラ グイヨ法式、密度は1ヘクタールあたり5千本 土地の属性:Arbozzano di NegrarのTenuta Villa Novareという地(ヴァルポリチェッラの産地)、盆地で北は山でさえぎられている。土質は西側は岩がちで石灰質、東側は大理石の石灰質。 BERTANI社のアマローネは、9月第2週目に手摘みで良い実だけを選んで収穫し、さらに悪い部分は手で取り除き陰干しの作業を特製のラックの上で4ヶ月ほど行います。毎日窓の開閉やブドウのコンディションを点検し、管理をしているのだとか。 通常アマローネ用のブドウは、(アマローネではない)ヴァルポリチェッラ用よりも1~2週間ほど収穫は早いのです。陰干しすることで水分が蒸発し、果汁は3~4割濃縮。それによってアルコール度の高いワインができます。 この作業で糖分は25%ほど増加します。1月半ばにブドウは圧搾され4-5℃でマセラシオンが行われます。そこでゆっくりと50日間18℃で発酵が行われるのです。 以上の製法により、高いアルコールと優雅な香りを含む油分(グリセリン)を形成します。 degusutazione:肝心の味のほうですが… 1998年>瓶詰め2005年、アルコール15,2% 色:明るめの赤 香:カカオやチョコ、天草の香り、スパイスの香り 味:若さを感じる、アルコールを直接感じる、酸味が強い、しっかりしたボディ 皿:ビステッカ・フィオレンティーナ 1986年>瓶詰め1995年、アルコール14,9% 色:ガーネット 香:コーヒー、プルーン、花のブーケ、甘い香り、ぬれた砂 味:丁子、しょうが、タンニンはまろやかでエレガンス (ソムリエはコルクを通してワインが呼吸している…と言っていました) 皿:アマローネで煮込んだ頬肉のブラザート、シチュー、熟成のすすんだチーズ 1978年>瓶詰め1988年、アルコール15,15% 色:レンガ色を帯びたガーネット 香:ベリー、桑の実、チョコ、フレッシュな果実味 味:しょうが、ベリー、甘草、ウスターソース、酸味は穏やかでフレッシュ感がある 個人的には78年が一番深みがあって、エレガンスでしかも瑞々しいのでこれが一番お気に入りですかね。 残念ながらあわせる皿は聞きそびれましたが、熟成のすすんだチーズやビテッロ・トンナートなどの軽めのセコンド、フィレステーキなどなんでも合わせられそうです。 そしてお次は貴重な1967年のビンテージ。なんと大樽に18年間も寝かされたあと、瓶詰めされています。 1967年>瓶詰め1985年、アルコール15,20% 色:レンガ色のガーネット 香:甘草、乾燥キノコ、カッルーバ、トリュフ 味:落ち着いた感じ、酸味はほとんどない、桑の実 少しくたびれた感じかしら。 ワインの飲み頃曲線から言うと、3番目が一番ピークで2番、1番も悪くありません。 でも4番目は少し勢いが失われてしまっているようです。 昔から作り方を一切変えていないBERTANI社のアマローネ。 当日は御社のロベルト・カナーリ氏も駆けつけて、デグスタッツィオーネの際にはソムリエとともに熱弁を振るってくれました。150年間、同じブドウの品種、製法でワインを作り続け、先祖から受け継いだ樽を熟成に使っているそうです。アマローネのラベルだって、ほら、全然変わってないでしょ? そんな氏のワイン哲学とは、 ワインは待つこと。時間をかけて熟成させることで丁寧に作られたワインは、よりおいしくなっていく。 美味しい料理と美味しいワインがあれば、正直、アビナメント(料理とワインの組み合わせ)がカンペキじゃなくても、いいんじゃない。 とも。そりゃそうだわね。 アビナメントに神経質になりすぎるよりも、それぐらいの考え方のほうがbutakoは好きです。 ちなみに1967年のワイン、楽天で見たら46700円(品切れ)になってました。 ひぇー、すごいワイン、飲んだんだー@_@ butako
by butako170
| 2009-06-06 20:28
| イタリアワイン
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