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幻のブタ! チンタセネーゼに会いにノルチャへ
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 Butakoのライフワークの一つに「ブタの研究」があります。甲南大学の森田ゼミで「ブタと文化」という卒業論文を書き上げてから、ブタは特別な存在。
 ブタの取り持つ縁?とも言うべきでしょうか。 二年前、ブタ加工品の聖地ノルチャに行くためスポレートに立ち寄ったのですが、その時旦那と知り合ったので、そういう意味でも特別なのかも。

さてさて、本日は山の師匠ジョバンニに誘われて、ある酪農家の所におじゃましています。
ジュゼッペ氏(愛称ペッペ)は、代々ノルチャで酪農を営んでいます。今年から新事業を始めました。

山一つ開放してブタを飼う

長年温めていた夢だそうです。
しかしタダのブタではありません。「チンタセネーゼ」という非常に古くから飼われ続けていたブタなのです。

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 チンタ・セネーゼとはチンタ(帯、ベルト)、セネーゼ(シエナの)の意味で、ブタの背中からヒヅメにかけて、白い(地肌だからピンク色かな)部分が帯のように体を囲み、ベルトをしているように見えることから、名づけられました。マイアーレ・チントゥレッロとも呼ばれています。
古くからシエナ及びシエナ近辺で飼育されてきた品種で、シエナの市庁舎の壁画(14世紀)にもその姿が描かれているほど!
肝心の味ですが、普通のブタよりも赤身の色が強く、肉質は適度に締まり、非常に味わい深いのが特徴。
通常のブタが9ヶ月かけて180kgも成長するのに比べで、チンタセネーゼは1年半でようやく130kgほどになるそうです。
効率の悪さから、1930年代には、アメリカやイギリス産の大型ブタが好んで飼育されるようになり、あっという間に作り手は激減してしまったのです。

 ペッペはそんな血統正しきブタを今年の初めから飼い始めています。
理由はおいしい生ハムやサラミを、最高のブタで作るため!!

ご存知、ノルチャはブタ加工の技術が古代から発達しており、現在も加工品のブランドとしてまかり通っています。
でも、ノルチャではブタを飼っていません。厳選したブタを他から取り寄せるのです。

 だからペッペは美味で安全なブタを飼い、最高の生ハムを作る…というのが夢だったそう。

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 朝8時半、今日はあいにく深い霧に覆われています。
10メートル先も見えない状態でしたが、とにかく山へ、と言われ、向いました。
あ、霧の中からブタがやってきた!
白いベルト、してます。。。

ブタをこんなに間近で見たのは初めて!カワイイなぁ。
耳がこんなに長いのは、森や山で、ヤブや茂みから目を保護するため、進化したそう。
Butakoが感激しながらシャッターを切っていると、ブタたちは辺りに生える草を物色中。

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 チンタセネーゼはね、森林で飼うのが本来の飼い方なんだ。今の時期なら、ルビネッラ(イガマメ)を食べたりキノコも食べるよ。
晩は僕がトウモロコシや麦などの雑穀を1匹につき、800g与えてる。
彼らは雑食だから、他の品種のブタが食べられないものまで食べる。胃が人間のと似てるんだよ、とペッペ。

へぇー知らなかった!
また、これからはドングリやクヌギ、栗などの季節。これらの実は、ブタの肉質や脂肪をおいしくすることが分かっています。
だから秋が深まる頃には、それらを大量に与え、太らせるのだとか。

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それにしても広い土地です。
小さい山ですが、全部ブタのために開放。
その広さ100ヘクタール。現在、50匹ですが、将来的には300匹まで増やしていくつもりですって。

こうして天然のエサを食べ、十分運動しているブタが不味いわけありません。

そして、ペッペはユニークなビジネスを披露してくれました。
このブタたち、なんと今の時点で買うことができます。そう、指差して「あれが欲しい」といえば、マイ・ピッグになるのです。
こうしてブタが成長する前に予約しておいて、時期が来れば10kgあたり○○€で購入するそうです。(一匹あたりおよそ300~400€くらい)
買ったブタはハムなどに加工もしてくれます(1kgあたり1€)

購入者は山へやってきては、自分のブタが元気か、餌は食べているか管理できるそう。
「まるで里親制度みたいだね」とジョバンニ。
なるほど、と思いましたが、結局その子ども(ブタ)って、最後は食べられちゃうんだけどね。

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なかなか面白い発想ですね。
「ノルチャ、マイ・ピッグ探しツアー」なるものを企画したら、日本からも選びに来るお客さん、いるかな。
(写真:これから水浴びをしに行くブタたち)

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山には、4匹の羊の一家も共存していました。 

                                              Butako
by butako170 | 2008-08-23 23:36 | ウンブリア地元ネタ
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