コロンナータ村のラルド
 ポークステーキの脂身、除けて食べる人結構いますよね。ここトスカーナ州コロンナータ村には、なんと、豚の脂身(ラルド)100%のサルミ(肉加工食品)があります。ラルド ディ コロナータ。サラミに角切りのラルドを入れたりしますが、ラード自体を食べるのは日本人の感覚からすると、ちょっとショッキング。かかりつけ医からするとレッドカードもの。

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ここコロンナータはアプアーネ山脈から採掘される良質の大理石で有名な街です。かつてヴァチカンのサン・マルコ大聖堂にも用いられたという古くからの採石所なのです。
コロンナータ村のラルドは、その大理石で作った箱のなかに、ラードを敷き詰め、上から塩と数種類のハーブを載せて、重石をしてねかせます。さながら、ラードのお漬物。
幾つのきまりがそこにはあります。
・作る期間は9月~5月
・アロマに用いるハーブは塩、黒コショウ、ロースマリー、ニンニクをベースとする
・熟成期間は最低6ヶ月~(長いもので2年)
・桶には地元の大理石を用いる
あとは、コロナータの冷たく厳しい気候が、ラルドを美味しくしてくれるのを待つだけ。

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 標高の高いこの街へ行くのはバスの路線も少なくて大変・・・そう思って行くのをあきらめていました。そんな時に渡りに船、イタリア人の友人(男性)が車で連れて行ってくれることになりました。
でも・・・二人きりはまずいなーと渋っていた時にCIZURU登場。それで、友人も他の友人を連れてきて、楽しい(?)四人旅と相成りました。ピクニック合コンみたい・・・。

 さて、国道11号線に乗りフィレンツェ空港のそばを過ぎてからは、車も少なくなり気持ちいいドライブの始まりです。ルッカを過ぎた頃、国道12号線に乗り換え、カッラーラを目指します。カッラーラはコロンナータの下手にある町。ここの下にあるカッラーラ・マリッテイィマから世界各国にむけて大理石が輸出されるという寸法。

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 高速のカッラーラで下りると、目の前にアプアーネ山脈が迫り、白い岩肌を覗かせています。初夏なのに、さながら雪景色。車道の狭い山道を小気味よく運転する友人ルチャーノ。(彼はバスの運転手なので当然か。)空気はひんやりしていて3,4度は涼しく感じます。
そしてお待ちかね、コロンナータに到着。山頂の街は、小さな広場が一つっきり。たぶん住民は300人いるかいないかと言ったところ。ひっそりとした可愛らしい街です。

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 その広場を抜けると、なん軒かのラルデリア=ラルド専門店を発見。早速店内に入り、味見をさせてもらうbutako。ラルデリアのおばさんは、その場で数枚のラルドを薄く切ってくれました。
さて、本場のラルドの試食です。『うーーん?』アレ、あんまり美味しくない?ハーブの香りがそれ程しません。それまで、フィレンツェでも何回かコロナータ産ラルドは食べていて味は知っていました。きっと本場で食べるラルドは、きっとこれを上回る美味さに違いないと期待してやってきたのですが。

 d0033983_045216.jpgそこで、別のラルデリアで再挑戦。『うーーむ!』ここのはアロマの香りとラードの持つ甘みが際立っていて美味い。そして、3軒目は辛くも×。どうやら店によって味が大きく違うようです。
ここで、butakoは考えました。美味しさの違いはハーブの種類と熟成期間だろうと。2軒目の店ではハーブの種類が基本の3種類のみならず、ナツメグ、オレガノ、丁子などをブレンドしたものを使っていました。他方は、3種類のみ。そして、ラードの甘みからしても、他方は浅漬けじゃないかと思われます。そう、この村には、ラルデリアが13軒ありますが、その製法は各店店で微妙に異なるのです。各家庭の糠漬けの味が違うようにね。
ラルデリアには仕込み用の大理石の瓶が何個もあって、暗い涼しい場所に安置されています。街歩きの時、その瓶が垣間見えたりして楽しいものです。
 
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実は、このラード20年前は、絶滅の危機にありました。かつて採石所の厳しい労働に耐えるためと厳しい冬を越すためのエネルギー源だったラルド。それが健康志向とともに見向きされなくなっていきました。でも、伝統食ラルドの灯を消したくなかったコロンナータ村民はそこで立ち上がったのです。スローフード協会に働きかけた甲斐あって、ラルドは協会のプレシディオに認定されました。イタリア全土にその名を知らしめたラルド。美味しさも再確認され、より大きなマーケットに進出することになったのです。今では類似品まで出回るほどだとか。

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時間と気候によって、ねかせることで美味しくなるラルド。でもあくまでの地元の素材を使い、ここの自然でないと出来ない産物です。のんびりと熟すのを待つ・・・ということはラルドにおいてはとても大事なこと。そして時に私たちにとっても大切なことなのです。
(結局ここでは、ラルドは購入せず、アロマティザートされたパンチェッタを買いました。このパンチェッタ、生で食べても良し。ワインのいいお供になります。今晩はこれで晩酌しますかね。)

                                              butako
  
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by butako170 | 2006-06-27 00:42 | プレシディオ・食材
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