豚の血を原料にしたサラミをサングイナッチョ(SANGUINACCIO)というのですが、今日は、プレシディオ認定品の『マレガート(MALLEGATO)』というサングイナッチョを求めてサン・ミニアートまでやってきました。 サン・ミニアート(SAN MINIATO)はロッカ(城塞)が街を見守る丘の上の街です。フィレンツェから40kmほど西に位置し、エンポリに隣接しています。中世の雰囲気を今に残す、閑静(しず)かで美しい街です。 国鉄サン・ミニアート・バッソ(低いの意味)駅から、市バスに乗って旧市街に向かいます。ポポロ広場で下車。広場から程近いマチェレリア(肉屋)『SERGIO FALASCHI』へ直行です。 そこで充実のレクチャーと試食を終え、サラミ作りも拝見し、至福の1時間を終えました。(次回に記事は掲載)残念ながら、この日はマレガートは作っておらず見学できませんでした・・・。もちろん、タダ見厳禁が身上のブタです。マレガートと他一品を買い、厚くお礼を言ってマチェレリアを後にしました。 サン・ミニアートを高台から見下ろすのはドゥオーモです。ポポロ広場から、らせん状のゆるい坂道を登ると、中腹にレプブリカ広場があります。さらに登るとドゥォーモに到着します。もし道を間違えても大丈夫。すべての道がドゥォーモに通じているので安心です。 さて、途中レプブリカ広場の司教神学校の壁面を見て唖然。なんと壁一面、見立て絵で描かれているではありませんか。フィンタ(だまし)を使うのは、金銭面の問題からでしょう。それにしてもバロック調の柱や装飾が本物さながらに描かれていて、ここまで一面埋め尽くされていると圧巻です。 さてドゥオーモ広場に到着です。この広場からの風景はなかなかのもの。正面にはドゥオーモ、少し奥に別のパラッツオの緑の丸屋根が覗いています。そして斜め奥手には空にも届きそうなロッカが…。同広場から続く小道が視点を上へと誘(いざな)います。 そして意外と楽しかったのが、ドゥォーモに隣接する司教立美術館です。 サン・ミニアートに縁のある画家たちの絵が所狭しと並べられています。年代順はバラバラ。なかには紀元前の陶器まであって、無秩序で楽しい美術館でした。 さて、午前からの花曇が少し解消してきましたよ。青空が覗いたところでロッカ(城塞)に登りましょう。『結構この坂道堪えるな~』軽く汗ばみ始めたころ頂上に到着。そこからの景色がbutakoを労ってくれました。 なんて穏やか、なぜか懐かしい・・・ロッカからの景色になぜか不変的なものを感じました。サン・ミニアートの教会の屋根と平野、そしてなだらかな山々。春の風に吹かれてぼんやりと景色を眺めていました。 昼食を軽く済ませた後、ドゥォーモからすぐのサンフランチェスコ修道院を訪れました。 サン・ミニアーノの歴史を知りたかったからです。『話を聞きたい・・・』と受付の人に言うと、快くパードレ(修道院長)に会わせてくれました。 ・・・急な通り雨。シトシトと雨音のするなか、パードレ・ガイタノ氏は話し始めました。 サン・ミニアートは実は中世からの宿場町です。ヴァチカンへの巡礼(pellegrinaggio)のため、フランスからの巡礼者は、リグーリア州からカッラーラを抜けシエナを通りローマへと行脚したのです。サン・ミニアートはその途中の街道沿いにあるため、多くの巡礼者が宿を求めて訪れました。 しかし近年、旧市街は次第にさびれていきました。戦後、国鉄の走るサン・ミニアート・バッソ(新市街)に人口は移動し、旧市街はさながら過疎化。そこで、これはいかんと住民、役所、教会が、復興のため知恵を出し合ったそう。なので秋の白トリュフ祭やスローフード協会とコラボして、『チッタ(街)・スロー』なんて銘打って差別化を図っています。町おこしに懸命なのです。 街の顔である修道院、しかもそこの長であるガイタノ氏は何度も、街の活性化をbutakoに説明します。なので少し皮肉って『あなたは宗教家というよりも、経営者のようですね。』というと、軽く殴られちゃいました。もちろん冗談でですが。 さて、忙しいパードレの仕事の時間が来てしまいました。それではお暇するとしましょう。ちょうど雨もやんで、日差しが戻ってきましたよ。(butako超晴れブタなんです、実は。) スロー・シティ=サン・ミニアート。butakoのお気に入りの街です。閑静で、上品で、つつましい街。もしフィレンツェに来る機会があるならば、是非寄ってみてくださいね。 Butako
by butako170
| 2006-04-29 00:17
| 旅行記
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