長らく旅の報告などもせぬまま、半年以上が過ぎてしまいました。
まずは、あの幻のチーズと言われるカステルマーニョ、とりわけアルプスの麓という狭い範囲で作られた"アルペジオ"と呼ばれる希少品種の作り手を訪れた時のお話しをします。 6月1日。イタリアは日差しも気温も夏モードでしたが、ここアルプスはまだ早春、いやまだ冬でしたね。 そもそもカステルマーニョとは標高1150mの高地にある村の名前。 フランスと国境を接するピエモンテ州クーネオ県のアルプス山脈のエリアにあります。 レンタカーで寒々とした道を運転するbutakoですが、カステルマーニョの町に入っても、まだまだナビの説明は続きます。 だんだんと険しい山道になってきました。めざすジョルジョさんのチーズ工房は、4kmも先です。 さて、ようやく到着。 「こんな山奥までよく来たね〜」と満面の笑顔で迎えてくれたジョルジョさん。 彼はスローフード協会のプレシディオCastelmagno dalpeggioの責任者をしています。今回、カステルマーニョの生産者を訪れるため、電話相談したところ、うちに是非、ということで、彼の工房にお邪魔しました。 まずは牛舎を見せてもらいました。 清潔な牛舎の中には、乳牛である灰色のグリッジャ・アルピーナと赤毛に白いブチがあるペッツァータ・ロッサの2種類。 寒冷高地に耐える種で、どの子も気性が穏やか。 もう1週間もすると放牧するそう。今年は冷夏のため、例年に比べて放牧が遅く、まだ屋舎飼いです。野山には春の花が咲いているので、晴天が待ち遠しいですね。 それでは工房で、チーズ作りを見学しましょう。 サルデーニャから夏の放牧とチーズ作りのためやってきたマルコが、作り方を見せてくれました。 まずは昨日と今朝搾乳した乳を35〜39℃に温め、そこに牛由来のレンネット(凝固剤)を入れ、1時間ほど放置して、凝固させます。ここまでは普通のチーズと同じやり方。 凝固した後、米粒大になるまで撹拌し、それを1つにまとめて布に入れます。そして1日、吊るして水分を抜きます。 やや固くなったその塊を、シエロ(清乳:ホエー)の入った大きなたらいに入れ、3〜4日漬けます。シエロは酸度がとても高く、工房中に酸っぱい臭いがしています。 シエロ漬け込んだ塊は、小さく切って粉砕器に入れ、ポロポロの状態にします。 ほら、こんな感じでちょっとオカラみたいになっていますね。 それに塩をふり入れ、塩味をつけます。 こんな塩味の付け方、初めて見ました!! それを型に入れて、プレス機で押して固めます。 そして自然の熟成庫に入れ、2ヶ月から長いものだと2年間以上も熟成させるのです。 サルデーニャ出身のマルコは、ここに来てからカステルマーニョ作りを習得しました。ペコリーノの作り方とも違うし、モッツァレラとも違う。 こんなに変わった作り方なのは、実は山岳地方ならではの理由があります。 チーズというのは、乳の保存のためにつくり出された人類の英知が詰まった食べ物。当然、アルプスの山の人々も、チーズを作りたかったのですが、いかんせん、個人の飼う牛が出す乳の量などしれています。 1日に10L出たとして、毎日チーズ作りをするには少な過ぎたのです。そこで、チーズにする前のタンパク質を酸度の高いシエロに漬けて数日保存し、型にするのに十分な量になるまで貯めておきました。 そして貯まったところで成形し、熟成した…というわけです。 山岳で多く家畜が飼えないアルプスならではの知恵のチーズですね。 (写真はチーズ工房の窓から広がる風) 熟成庫の案内は、ジョルジョがしてくれました。 階段を下りて、地下の貯蔵庫へ。 下へ降りるにつれ、カビの強烈な臭いがしてきました。 「カステルマーニョ・ダルルベジオのチーズは天然の岩や洞窟、地下室で熟成させると決まっているんだよ。常に湿度が90%以上ないと美味しいカステルマーニョにならないんだ。」 木製の棚に並べられたいぶした黄金色に輝くカステルマーニョが、見渡す限り並ぶ様は圧巻。 はやく味見したいなぁ。 次回に続く…。 ************************************************* 旅サイト『ウンブリアの食卓から』がリニューアルになりました。 是非、チェックしてみて下さいね!! ************************************************** アーティスト ロベルト・ピビリからのご提案 ・店舗のシャッターのペイント(店内装飾や室内装飾) ・御社のテーマに沿った絵画 ・ロゴや商品パッケージ用のイラスト お気軽にご質問、お見積もり承ります。 サイト:http://tarosauc7.wix.com/roberto メルアド:tarosauce★hotmail.it (★を@に替えて下さいね) ************************************************* ウンブリア旅行、スローフード研修ならbutakoにお任せ! ************************************************* 詳細は『ウンブリアの食卓から』をご覧下さい。 研修旅行や商談通訳などにも応じますので、お気軽にbutako170★hotmail.co.jpまでお問い合わせ下さい。(★を@に変えて下さいね)
by butako170
| 2014-12-11 20:45
| 旅行記
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