パスクワ家のチーズ作り
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カステッルーチョは、標高1600mの村。
一足先に秋が深まっています。

パスクワ一家は、今日も羊の乳を搾り、早朝からチーズ作り。

butakoたちが見学のため訪れると、リディアは、ニッコリ笑顔で迎えてくれました。
夏の間中、結局会わずじまいだったから、お互いの元気を確認して。。。
旦那さんのドゥイーリョも、大きな厚い手で握手してくれました。今日はドゥイーリョのお母さんも加勢してくれます。
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羊乳を大きな銅製の鍋に入れて、40℃になるまで加熱します。
そして、そこに子羊の胃袋からとったCaglio(凝乳酵素)を入れて、しばらく待ちます。

およそ15分後。ぷるんぷるんと固まりました~★
それを穴あきレートで静かにひとすくい。
お皿にすーっと入れて、静かに水を注ぎます。
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出来立てのヨーグルト(カリアータと言います)。
ほんのり甘い。
温かい。
世界広しといえども、クール便が北から南から生鮮食品を運んでくれる昨今といえども、できたてのヨーグルトを食べれる人は、そう多くはいません。私たち果報モンです!

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ヨーグルトをチュルンと食べている間に、リディアと義母さんが、凝乳を壊しはじめました。「今日はたくさん乳量があるので、機械で攪拌するわよ」とリディア。
機械で大雑把に壊した後は、ミスティコという突起のついた木の棒で、かき混ぜます。
米粒くらいになるまで、よくかき混ぜた後は、本の少し火を入れたあと、放置します。

10分ほど置いておくと、小さなチーズの固まりが、それぞれくっつきあって、大きな固まりになっていきます。
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それをリディアが、そっと手でまとめて。。。
そろりそろりと、糸で切ります。

その一つの固まりを、木枠にはめていきます。
中の気泡とその中にたまっている水を抜きながら、型に押し込んでいきます。
今朝は、義母さんのほかに、隣のオバアサンとその弟さんも来てくれているから、大勢で作業ができます。
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毎朝のこの作業のおかげで、リディア、肩を壊しているので、助っ人が多ければ多いほど、彼女は助かるのです。
皆で冗談を飛ばしながらする作業は愉し。
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「型に入れるからforma(型)ggioっていうのよ」
名は体を現す。
チーズを凝固させて、型に押して、熟成させる。
お乳は、栄養が凝縮するばかりでなく、長期保存もできるし、持ち運びも簡単。
誰が発明したんだろうね、こんな素晴らしい食べ物を。
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型に入れ終わったチーズは、地下の熟成庫に持っていきます。
塩をチーズの表面に置いていきます。チーズを置く台や熟成のための台は、すべて木製。余分な湿気を木が吸収してくれます。
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一方、チーズを取り出した後の清乳ですが、これは捨てずに、そうリコッタチーズを作ります。
Ri(再び)cotta(熱する)の意味のとおり、再び火にかけます。
45℃くらいまで、熱します。

しばらくすると、段々清乳が分離してきましたよ。
透明な部分と真っ白なモロモロの部分に。
この時点で、火を止めます。あとは、分離が勝手にすすんでいきます。
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それを穴あきレートで、ゆっくりとすくっていきます。
そして網目の細かいザルに静かに入れていきます。

ここで、近所の別のオジサンがやってきました。
「リコッタ、できてるね~」手にはマイ・スプーンが。出来立てリコッタのご相伴に預かろうというのです。
さっきまでいたおじさんは、「これ、パンにかけて食べたらウマイねんで」と教えてくれます。
では、教わったとおりに、パンにかけてみましょう!
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パンが、リコッタの水気でふやけて、ミルク味になってる!
おいしい~。
ツルリとした食感のリコッタは、口の中で優しく溶けていきます。

パスクワ家のペコリーノチーズやリコッタチーズは、ノルチャやスポレート、お隣のマルケ州まで売りに行かれます。また直売もしているので、朝の早い時間に、買いにやって来る人もいます。

自分たちで羊を飼い、乳を搾り、チーズを作り、売る。
すべて手作り。
365日、休みなく働く彼らを思うと、尊敬の念が湧き上がってきます。
ほとんど街にも出ず、旅行もできないリディア。
それで幸せなのか・・・と他人が容易にジャッジすることは、到底できない話です。
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「若い人の価値観には合わない」と言われる酪農。
家畜と共に生きることは、大きな犠牲を伴うことも事実です。
でも誰かが引き継がなければ、やがて途絶えてしまいます。工場で量産されたチーズだけになってしまいます。
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豊かなイタリアの食を支えるのは、けっして表舞台に出ない農家や酪農家の人たち。
都会の人が、おいしいチーズやハムを享受できるのも彼らのおかげ。
せめて、生産者の苦労を思いながら、ありがたく、美味しく頂くことにしましょう。

私が、お客様を連れて、パスクワ家のチーズ工房を見学することは、実は彼らにとって、すごく誇らしいことだったんだ、とリディアの喜ぶ顔をみて思いました。
                               butako
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by butako170 | 2011-09-22 06:33 | ウンブリア料理
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