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サフラン祭り @カッシャ
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ヴァルネリーナの街カッシャで開催されるサフラン祭りも今年で9回目を迎えます。
その火付け役となったのシルバーナさん。butakoも何度か彼女の畑に訪れ、一緒にサフランの球根を掃除したり、サフランを摘んだことがありました。そのときの記事はこちらをどうぞ。

そして彼女は、スローフード協会のプレシディオに認定されているロベイアという野生のグリンピースの栽培を手がけた第一人者でもあったのです。
ロベイアについては、、 こちらから。

そこで今回は、彼女が参加するサフラン祭りのお手伝いをしようと、先週の土曜日、カッシャに行きました。

カッシャは聖女リータの生まれ故郷で、そのため全世界から巡礼者が訪れます。
アッシジの聖フランチェスコほど有名でないにしろ、南アメリカでは爆発的な人気を誇る聖女。なのでブラジル人などの巡礼者が多いみたい。
そして、なぜかナポリ人も、たくさんやってきます。
「守護聖人は多いほど良い」という八百万の神信仰にも似たナポリ人の信心深さを表しているのかしら。

このサフラン祭りも、聖女リータと祭りの両方を楽しもうと、大型バスが南イタリアから何台も乗り入れていましたよ。

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さてさて、わが友人のシルバーナはですが、彼女はカッシャからおよそ15kmほど離れた『チビタ・ディ・カッシャ』という村に住んでいます。若いころから農業を営んでいました。それが、およそ十年前に、古い文献を読み解き、カッシャ界隈でかつてサフランの栽培が行われていることを知ります。


この地がサフラン作りに適していると確信を得た彼女は、アブルッツォからサフランの球根を取り寄せ、栽培することにしたのでした。
最初は猫の額ほどの小さな畑で試験的に行い、それに成功すると、徐々に生産を増やしていったのです。


いつしか、シルバーナの作るサフランは有名になっていき、近隣の農家の人たちにも、そのノウハウを教えながら、サフラン作りの輪が広がっていきました。ついには、カッシャはサフランの名産地としての地位を確立したのでした。

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こちらが、シルバーナのブースの看板商品。
サフランとロベイアです。
サフランやロベイアで作ったクッキーも飛ぶように売れていましたよ。
このクッキー作りの様子は、後日お伝えしましょう。

そのほか、ファッロやファジョーリなどの豆類も販売しています。
標高1200mの農地で無農薬で栽培される作物は、どれも健全そのもの。

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「サフランなんて、化学的に処理されたパウダーのものしか見たことがない!」 という人のために、丁寧に説明するシルバーナ。サフランのめしべは一つの花に一本あり、それが途中から三つに分岐しています。その様子を本物の花を分解しながら、説明します。

さて、肝心のbutakoのお手伝いですが、これら名産品を日本人である私が売れば、どことなく嘘くさくなってしまうので、別のお手伝いを申し出ました。(彼女らはそんな事、全然、意に介していない様子でしたが)

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それがこちら。ロベイアとウンブリアワインのマリアージュを楽しもうという粋なプログラムのお手伝いです。
最近、ソムリエ教室に通ったりして、にわかにワインづいているbutakoなので、このマリアージュには、おおいに関心がわきました。

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・ロベイアとアサリ貝を煮たもの
・ロベイアを粉に引いたもののポレンタ、アンチョビのソースがけ

アサリで煮るのは、シルバーナの思いつき。アサリの繊細で豊かな海の香りが、ロベイアに染み込んでいて美味でした。そしてロベイアのポレンタは、クアレイジィマ(四旬節:カーニバルから復活祭までの肉を絶つ時期)に、この地方で食べられてきた郷土食です。これは、前者とちがい力強い味わい。ロベイアの青臭さを、アンチョビソースがうまくマスクし、風味を加えていました。

それに対するワインがモンテファルコ・ロッソです。
AISウンブリアの指揮のもと、セレクトされたワインです。
両者の相性はバッチリでした。

配膳をしながら、参加者の様子を観察。
ロベイアの煮物は万人うけしていましたが、ポレンタのほうは残す人もちらほら。やはり、洗練されていない癖のある田舎料理は、なかなか口には合わないようです。
でも、この素朴な味、butakoは好きだなぁ。

とはいえ、この試みは大盛況でした。
ソムリエとロベイアの生産者であるシルバーナの説明のもと、きちんと両者を味わい、分析し、舌だけでなく頭でも理解した貴重な体験。
漫然と食べるのではなく、たまには勉強しながら食べることって、刺激的な体験なのです。
説明だけを受けるのと、理解度はかなり違ってくるでしょう。

ロベイアの知識を深める良い機会ですね。
こうして失われつつあった作物が息を吹き返し、再発見されていくのは、意義のあることだと思いました。

                                                            butako
by butako170 | 2009-10-29 05:35 | サグラ・祭り
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